本研究は、福永武彦を軸として1930~40年代の東大の若者を中心とする西洋文化受容の知的ネットワークの見取り図を構築するものである。当時の文芸空間における若者の知的つながりを、具体的な人の動きとともに明らかにし、戦後に本格的に出発した世代の文学者や芸術家が持っていた人脈や思想的背景を、実証的に考察した。長崎、広島、フランスにおける調査、内外の学会や図書・雑誌での成果公表を行った。2009~2011年度に若手研究Bで行った調査研究に接続しつつ、日本近代のフランス文学教育における宣教師の動向、福永の卒業論文(仏語)の全訳、友人や関係者との面談など縦横のつながりを補完、知的地図の拡充を目指した。
|