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2012 年度 実施状況報告書

『金瓶梅』の服飾描写からみる中国近代小説の誕生と展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24720163
研究種目

若手研究(B)

研究機関広島大学

研究代表者

川島 優子  広島大学, 文学研究科, 准教授 (30440879)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

今年度は、初年度ということもあり、基本図書の購入、特に服飾関係の資料蒐集(『服飾中華―中華服飾七千年―』精華大学出版社2011、『中国服飾通史』寧波出版社2002、『中国伝統服飾図鑑』東方出版社2010 他)等を中心とした研究環境整備、および『金瓶梅』の外見描写、とくに服飾描写に関する基礎調査を行った。具体的には、テキストとして『金瓶梅詞話』(大安1963)、『金瓶梅詞話校注』(岳麓書社1995)を用い、服飾描写を中心としたデータベースを作成したほか、服飾描写に関する詳細な読み込みを行った。その結果、人物毎に服飾描写の特徴が見られること、描かれるポイントが異なっていることが明確となり、服飾による人物の描き分けが意図的になされていることが窺えた。
5月には、申請者の留学中(1996~1998)の指導教官であった復旦大学教授黄霖氏(金瓶梅学会会長)と本テーマに関する意見交換を行うとともに、江戸時代に日本へ伝来した徳山毛利家所蔵の明刊本『金瓶梅詞話』(『金瓶梅』最古の版本である『金瓶梅詞話』は、日本では徳山毛利家および日光山輪王寺所蔵の二点のみ。中国のものを併せても三点しか現存しない)の調査を行った。また9月には上海博物館へ赴き、装飾品、食器具および家具類の調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の計画のうち、基本図書の蒐集を中心とした研究環境の整備と、『金瓶梅』の服飾描写に関する基礎調査(データベース作成および読解)はおおむね順調に進めることができた。また、『金瓶梅』最古のテキストである明刊本(徳山毛利家所蔵『金瓶梅詞話』)の調査、および博物館での現物調査も行うことができた。服飾描写における配色を明らかにするため、専用の画像処理ソフトウェア等を利用して視覚的に『金瓶梅』の服飾を再現することも試みる予定であったが、本年度中には及ばなかったため、次年度に持ち越したい。
成果発表としては、一部関連する論文の執筆(「東方学」125掲載)および学会での発表(第58回中国四国地区中国学会大会)を行った。

今後の研究の推進方策

平成24年度の基礎調査を踏まえ、より具体的な考察を加える。平成25年度は主に「色」に関する描写について多角的な考察を行う予定である。具体的には、
①服飾描写における配色を明らかにするため、専用の画像処理ソフトウェア等を利用して視覚的に『金瓶梅』の服飾を再現する。
②データベース(四部叢刊、四庫全書、基本古籍庫等)を利用して、過去の文学作品や同時代の作品における「色」に関するイメージ、型の存在の有無を明らかにし、『金瓶梅』がそれをどのように取り込み、人物描写に利用しているかを具体的に明らかにする。
③宋俊華『中国古代戯曲服飾研究』(広東高等教育出版社2003)等、戯曲関係の資料を利用しつつ、演劇の衣装(色)と人物像との関連性を調査し、『金瓶梅』への影響を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

本年度は、主に資料収集を中心とした研究環境整備と、読解を中心とした基礎調査に専念したため、予定していたパソコンや画像処理ソフトウェア等の購入を行わず、当該予算を次年度に繰り越すこととなった。次年度は、そうした設備備品費、消耗品費に加え、国内旅費(資料調査および研究会等参加)、国外旅費(資料調査および研究会等参加)に主に予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 江戸時代における「資料」としての『金瓶梅』―高階正巽の読みを通して―2013

    • 著者名/発表者名
      川島優子
    • 雑誌名

      東方学

      巻: 125 ページ: 107-122

    • 査読あり
  • [学会発表] 高階正巽と『金瓶梅』―鹿児島大学付属図書館玉里文庫蔵「金瓶梅」を中心として―

    • 著者名/発表者名
      川島優子
    • 学会等名
      第58回中国四国地区中国学会大会
    • 発表場所
      広島大学

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公開日: 2014-07-24  

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