中国最古の神話的地誌『山海経』が、動乱の漢末~魏晋南北朝を経て、隋唐という再びの統一帝国に至るまでの文学・政治に如何なる影響を与えたのかを、文献と図像の双方から総合的に考察した。検討の結果、例えば、中国西北部の神話・神仙的壁画に特に多く描画される有翼の白馬の図像について、それが『山海経』に所収の、西方から献納された神馬「吉量(吉良)」である可能性を、各種瑞祥志・史書などの文献資料の記述を併せて明らかにした。また、現地考古・文物局の研究員等の協力を得て、内蒙古和林格爾自治区・後漢墓(瑞祥図)の保存状態ヒアリング、および周辺調査を行った。
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