本研究は、会話とその他の活動の同時並行的な実践、すなわち会話活動のダイナミクスについて、行為主体の外部に実在する環境(ヒトやモノ)との関連と、行為主体の内部に記憶や経験の積み重ねによって定着した認知との関連を包括的に捉え、それらの関連性が観察可能な現象として顕在化する事例を会話分析的手法によって分析・記述したものである。 言語的行為と身体的行為を並行させる上で、行為主体がその場の環境的・慣習的・社会的枠組みにどのように支えられ、限界づけられているのか。具体的にどのような実践によって、それらの枠組みへの適応が実現するのか。これらについて、本研究ではいくつかの有意義な知見を示唆することができた。
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