本研究は複雑に分化の進む中国語の可能表現が何を意味的根幹として成立し、其々がどのような派生経路を辿るのか、またその派生が如何なるメカニズムに支えられているのかを明らかにすることを目的とし、種々の可能表現を統語的・意味的観点から考察することを通じて、中国語における<可能>という文法範疇をより合理的且つ包括的に体系化することを目指した。可能を表す助動詞を主たる考察対象とし、可能補語形式と対照させながら、(1)助動詞“会”“能”の意味と派生経路、(2)可能の形式とモダリティの関連性、(3)助動詞“可以”の伝達機能と語用論的特徴について明らかにした。
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