『切韻』系韻書の整理に関して、今回の研究ではとくに『切韻』の佚文に重点をおいて、そのデータベースの構築を目指した。27年度は最終年度として、研究の完成形を目指し作業を行った。 対象となる佚文データは昨年度までにほぼ入力が完了し、今年度はデータの最終チェックと補遺を行った。データの多くはすでに上田正『切韻逸文の研究』によって収集されていたものだが、今回はそれらを全て原本によって再チェックし、また上田氏以後に発見されたもの、今回発見したものをも合わせて収録し、その結果、現在考えうる範囲のデータは全て入力し終えることができた。 また、今年度は最終年度ということで、昨年までにできなかった検索システムの構築にも着手した。システムはMySQLとPHPによるもので、当初計画していた形式のものをほぼ完成させることができた。これはすでにウェブ上に公開し、佚文テキスト、引用切韻名、掲載資料名、音韻情報など様々なキーから『切韻』佚文を検索できるようになっている。掲載アドレスは http://suzukish.s252.xrea.com/search/。 今回の『切韻』佚文データベースはこれまで存在しなかったユニークなものであり、今後の『切韻』研究の新しい基盤の一部になるだろうと考えている。今後は、すでに公開済の「Web韻図」(広韻検索システム)との統合を含んだ、『切韻』総合データベースの構築を計画している。
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