アンデス地方のスペイン語の、都市部(クスコ市、スペイン語が優勢)・農村部(チンチェロ村、ケチュア語が優勢)の違いに見られる変種の分析のためのデータ収集を目的に、2014年2月ペルー、クスコ市にてフィールドワークを行った。20名に行ったインタビューの文字化は4月から9月にかけて完了、12月までに分析を終了した。 クスコおよびチンチェロで収録したインタビューはすべてELANを用いて文字化し、プロジェクトのウェブページおよび上田博人東京大学教授のウェブページに掲載した。 上記データを基に、スペイン語とケチュア語の言語接触に見られる言語変異に関して、以下の分析を行った。(1)弱勢代名詞体系(2)hacer+不定詞による使役表現(3)過去完了時制におけるエビデンシアリティー(4)断定を目的としたyaの重複使用(ya… ya)。 分析は基本的に質的分析であるが、代名詞体系に関してはRを用いて多変量解析の手法を用い、得られた結果は全て論文、あるいは国内および国際学会にて発表済みである。 また、アンティオキア大学言語学博士課程に招待され、言語変種に関する特別集中講義(25時間)を担当。講義では本研究の成果としてのアンデススペイン語の諸様相についても言及した。 最後に、2015年度秋、スペイン語とアメリカ・インディアン諸語の言語接触に関する学会を東京大学にて開催する。当学会にて、本研究の最終結果を発表する。
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