研究課題/領域番号 |
24720185
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
阿部 一哉 跡見学園女子大学, 文学部, 助教 (50570420)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / ドイツ |
研究概要 |
本研究は,ドイツ語を書くために,日本語とドイツ語の交換可能な表現対としてどのようなものが適当かを検討し,実例を収集し,句例データベースを構築しオンライン公開することを目指すものである。 データベースをオンライン公開するために,インフラを整備する必要がある。そのために研究用サーバーを立て,mongodbをバックエンドにしたWebアプリケーション公開用の環境を構築した。なお,計画当初はXMLデータベースの使用を想定していたが,mongodbを使用することによりインピーダンス・ミスマッチを大幅に軽減できるというメリットがあり,導入に踏み切った次第である。 句例データを収集するためのコーパスとして,当初予定していたDeReKo以外に,ベルリン自由大学が公開しているdecow,ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーが公開しているDWDSの使用も視野に入れ,収集方法の検討を行っている。様々な収集方法を検討することで,方法論研究の観点からも,リスク回避の観点からも可能性が広がったと言える。なお,decowについては開発者を訪問し,貴重な技術報告を受ける機会があった。 句例のデータ構造および公開方法については,2回の研究会参加(ドイツ語事典研究会)1回の学会発表を行い,研究協力者の助言を仰ぎながら進めている。 また,アルバイトの助けを借りて,日本語の句例辞典(「てにをは辞典」)から,句例データを収集しているところである。 オンラインデータベースのデモ版は,在間進氏作成の日独対訳事例集をもとに,すでに次のURLで公開中である。http://atomilang.atomi.ac.jp/parac/
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では,①小規模データに基づいたパイロットスタディによるデータ構造の決定,②大規模コーパスDeReKoなどからの動詞の「句例」の抽出とその使用頻度分析,③データベース公開用のサーバー構築を行う予定であった。 ①については在間進氏作成の日独対訳事例集を用いて分析を行った。その成果は日本独2012年度文学会秋季研究発表会(中央大学八王子キャンパス),および跡見学園女子大学文学部紀要で報告した。 ②については,DeReKoと並行して,decow,DWDS(2者とも既出)に基づいて作業を行った。特にDWDSは,句例と密接な関係のあるコロケーション抽出のための優れた機能を備えており,作業が著しく軽減した。 ③については,上で述べたとおり構築作業は終了し,現在運用中である。
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今後の研究の推進方策 |
上で,DWDSの利便性について述べたが,同時に限界も見えている。何よりも,レディ・メイドのコーパスでは,研究者のニーズに合わせ検索方法やコロケーションの抽出方法が調整できない。この問題点を改善するために,ベルリン自由大学のdecowを使って,コロケーション・句例抽出システムの構築が喫緊の課題であると認識しているので,これを行う。そのために,decowプロジェクトのアドバイザー的立場にある,シュテファン・ミュラー博士を招聘し,現在までの成果の評価を行い,今後の研究推進の検討を行う。 句例データベースの格納データは,現在上述の用例集のみである。今年度は,これを実際に収集した句例データで補い,データ面での大幅な拡充を行う。そのために,現在推進中である日本語句例集の分析を完遂させ,摺合せを行いながら作業を行う。 データベース公開用のインフラや,ユーザーインターフェースについては,今後も国内外の協力者と情報交換を行いながら進めていく。 なお,2012年度の成果と今後の方針について,2013年度日本独文学会春季研究発表会で報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述のシュテファン・ミュラー氏招聘および国内研究旅行費用に4割程度の予算額を充当する。 句例データ収集作業のため,アルバイト謝金や作業用消耗品購入用に2割程度の予算額を充当する。 国内外の研究者との情報交換のための出張費用として,予算額の2割程度の予算額を充当する。 その他研究を推進するために必要となる,書籍・消耗品に2割程度の予算額を充当する。
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