研究課題/領域番号 |
24720198
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (20531635)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 言語発達 / 言語理解 / ワーキングメモリ / 保持負荷 / 言語心理学 |
研究概要 |
本研究の目的は,ワーキングメモリ保持負荷をコントロールした実験材料を用いて実験を行うことによって,特定の言語表現の理解とワーキングメモリ容量との間の因果関係を明らかにすることにある。 平成24年度は,一連の調査の準備段階と位置付けられ,平成25年度より実施される調査の予備的検討及び準備が主な取り組みであった。初年度である平成24年度には,保持負荷のコントロールに影響すると思われる文脈による理解促進効果及び発音容易性に関する研究を実施し,その成果を公にした。これらの発表・論文によって得られた知見をまとめると次のようになる。まず,Otsu(1994)で示されたかきまぜ文の理解に関する文脈による理解促進効果(単独では正しく文を理解することが困難であっても,その文を用いる際の適切な文脈を設定することによって正しく理解することができるようになるという効果)に関して,さらに詳細な条件設定を行うことで,必ずしも適切とはいえない可能性のある文脈においても理解促進効果が示されること,さらには適切と考えて支障のない文脈において理解促進効果が示されないことを実験により明らかにした。次に,発音容易性に関しては,主観的な発音容易性判断に基づき直後系列再生課題を行った結果,発音が容易であると判断された記銘材料に比べ,発音が容易ではないと判断された記銘材料において直後系列再生課題の結果が低下することが示された。これらの実験結果を踏まえ,平成25年度以降は保持負荷のコントロールを行った調査を実施し,格助詞に基づく文の理解を含めた様々な言語表現の理解とワーキングメモリ容量の因果関係の解明を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,ワーキングメモリ保持負荷をコントロールした実験材料を用いて実験を行うことによって,特定の言語表現の理解とワーキングメモリ容量との間の因果関係を明らかにすることにある。平成24年度は,一連の調査の準備段階と位置付けられ,平成25年度より実施される調査の予備的検討及び準備が主な取り組みであったが,本研究において特に重要となる保持負荷のコントロールに関して,コントロールへの影響を検討しなければならない項目を優先的に検討した。その際に得られた成果も公にされておりおおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は,ワーキングメモリ保持負荷をコントロールした実験材料を用いて実験を行うことによって,特定の言語表現の理解とワーキングメモリ容量との間の因果関係を明らかにすることにある。この目的を達成するため,平成24年度は,調査の予備的検討及び準備を行った。平成25年度は,平成24年度の実績を踏まえ,保持負荷のコントロールを行った調査を実施し,格助詞に基づく文の理解を含めた様々な言語表現の理解とワーキングメモリ容量の因果関係の解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,幼児を対象とした調査を実施するとともに,中間的成果に関する学会発表や他の研究者との意見交換を積極的に行う。これらのことを遂行するために,結果の集計に必要となるパーソナルコンピュータ,プリンタ,調査・研究旅費,謝金,消耗品費を,また,国内外研究者の新しい研究成果を取り入れるため,書籍購入費を計上する。
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