研究課題/領域番号 |
24720203
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中西 太郎 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (30613666)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | あいさつ / 待遇表現 / 方言 / 言語行動 / 地域差 / コミュニケーション / 定型表現 / 言語地理学 |
研究概要 |
申請者は、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを構築することを目的として、調査・研究を進めてきた。このモデルを構築することで、日本語あいさつ表現の変遷過程や、あいさつ表現使用実態の地域差が生じる理由を明らかになるのは勿論、日本語との対比で、他言語のあいさつ表現の変遷を扱うことも容易になり、言語普遍的なあいさつ表現変化の研究への挑戦が可能となる点で学術的意義が高い。 本事業の研究実施計画では、平成24年度は、あいさつ使用実態の性格が異なる、定型的表現使用地域20地点、非定型表現使用地域20地点の調査、使用実態の解明を予定していた。このうち、定型表現使用地域については、調査にかかる期間と費用、そして、社会的状況の変化に伴う調査・記述の必要性を鑑み、宮城県沿岸部の被災地15市町村で行った調査に参加して集めたデータを参照し、定型的表現使用地域のあいさつ表現使用実態の見込みを得るに至った。非定型表現使用地域についても、徳島県及び北琉球地方でのあいさつ表現使用実態の分析・考察を進めている。 また、研究成果の発表、還元については、関連学会のシンポジウムでの発表を通して、広く情報交換を行うとともに、今後の研究の展開に関する重要な示唆を得るに至った。さらに、消滅の危機に瀕する宮城県沿岸部被災地15市町村のあいさつ表現のデータをWeb上で公開する取り組みにも携わり、調査成果の還元に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを構築することを目的としている。 平成24年度は、a定型的表現使用地域(京都府)20地点、b非定型表現使用地域(北琉球地方、四国地方)20地点での臨地面接調査を予定していたが、定型的表現使用地域については、調査予定地域を変更して、宮城県での調査で見通しを得るに至った。そのため、当初予定していた調査研究旅費と、同行する調査員に支払う予定だった謝金分の経費が次年度に繰り越される形で残る状況に至った。さらに調査の内容も、必ずしもそれで十分とは判断できない。本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの構築には、定型的表現使用地域、非定型表現使用地域、両方の使用実態と変化の方向を見る必要があり、その点で、研究計画が若干遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを構築することを目的としている。 平成24年度は、a定型的表現使用地域(京都府)20地点、b非定型表現使用地域(北琉球地方、四国地方)20地点での臨地面接調査を予定していた。定型的表現使用地域については、調査予定地域を変更して、宮城県で見通しを得るに至ったが、必ずしもそれで十分とは判断できない。本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの構築には、定型的表現使用地域、非定型表現使用地域、両方の使用実態と変化の方向を見る必要がある。 そこで、平成25年度には、当初予定していた、非定型表現使用地域の調査(b非定型表現使用地域(南琉球地方)10地点、c定型非定型中間地域(北東北地方)30地点)に加え、可能な限り、定型的表現使用地域の調査を実施し、データを収集する予定である。 さらに、それらのデータをもとに、それぞれの地域でのあいさつ表現変化の方向を見極め、それらの変化パターンに通じる要因を洗い出し、あいさつ表現変化のモデルの構築に至る。
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次年度の研究費の使用計画 |
あいさつ表現変化のモデル構築のために必要な定型的表現使用地域の使用実態は、現段階で得ている資料では、必ずしも十分とは言えない。そこで、当初、平成25年度に、予定していた、非定型表現使用地域の調査(b非定型表現使用地域(南琉球地方)10地点、c定型非定型中間地域(北東北地方)30地点)に加え、可能な限り、定型的表現使用地域での調査を実施する予定である。追加で調査を行うa定型的表現使用地域については、千葉県・京都府、10地点ずつ、計20地点を予定している。 したがって、研究費は、当初予定していた、平成25年の調査予定地域の調査実施費用と、追加で行う調査の調査実施費用に当てる予定である。
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