研究課題/領域番号 |
24720206
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 確認要求表現 / 否定疑問表現 / 推量表現 / 文末詞 / 終助詞 / モダリティ / 対照研究 |
研究概要 |
本研究は日本語諸方言における確認要求表現について記述を行い,その記述をもとに諸方言の類型を明らかにすることを目的としている。研究初年度にあたる平成24年度は,データ収集を中心に研究を進めた。また,当初の予定よりも早く対照研究に着手した。研究実績は下記の3点にまとめられる。 1.要地方言の補充調査:島根県松江市,鳥取県鳥取市方言を母方言とする若年層話者に対して確認要求表現・否定疑問表現の調査を実施した。従来から記述が蓄積されている文末詞「ガ」をさらに詳しく記述したことに加えて,当該方言の否定疑問形式や若年層が用いる確認要求表現「~ヘン」の記述を実施した。その結果,これらの地域における確認要求表現・否定疑問表現の体系を把握することができた。これらの記述は対照研究のための基礎的な資料となる。 2.要地方言の新規調査:岐阜県岐阜市(中部方言域)における文末詞「ガ」の記述をおこなった。現代標準語の「よね」に相当する用法の有無については更に調査を要するので次年度の課題としたい。今後は,「よね」相当の用法を持つとされる,愛知県名古屋市方言の文末詞「ガ」についても記述する必要があろう。 3.対照研究:これまでに記述をおこなった青森県弘前市方言,島根県松江市方言,京阪方言,奄美大島瀬戸内町方言の結果を踏まえ,日本語文法学会第13回大会ワークショップにて研究成果の発表をおこなった(三宅知宏氏と高木千恵氏と共にワークショップを企画・実施)。この企画の過程で対照のための枠組み(参照枠)を設定し,対照研究を試みることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の計画では平成25年度におこなう予定であった,中部方言域での新規調査と対照研究の試みを前倒しでおこなうことができた。また,平成26年度におこなう予定であった学会発表を本年度中におこなうことができた。これらの点は計画よりも早く着手・達成できたので,当初の計画以上に進展していると言える。 一方で,学会発表の準備・打合せを集中的におこなったため,研究初年度に予定していた奄美大島,および肥筑方言域での新規調査が達成できていない。この点は本研究課題の中でやや遅れている点である。 以上の点を総合すると,研究課題全体としてはおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従って今後は次の点を重点的に進める。 1,要地方言の新規調査:鹿児島県奄美大島,九州肥筑方言域における確認要求表現・同意要求表現・否定疑問表現についての現地調査をおこなう。 2.補充調査:愛知県名古屋市(中部方言域)における文末詞「ガ」の補充調査をおこなう。 3.方言対照枠組みの整理:今年度おこなった学会発表の成果をもとに,方言対照の枠組み整備をおこなう。 4.データベースの整備:記述が完了しつつある方言のデータをデータベース化する作業を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.要地方言の新規調査,および補充調査(国内旅費) 2.データベース保存用物品の購入(スキャナ・外付けHDD)(物品費) 3.データベース入力補助作業(謝金)
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