研究課題/領域番号 |
24720206
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
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キーワード | 確認要求表現 / 否定疑問表現 / 推量表現 / 文末詞 / 終助詞 / モダリティ / 対照研究 |
研究概要 |
本研究では,第一に,日本語諸方言における確認要求表現の記述をおこなう。第二に,この記述に基づいて,諸方言における確認要求表現の類型を明らかにする。類型とは,平叙文・疑問文のうちどちらに現れる形式で確認要求表現の諸用法を担うのかという観点からみた方言のタイプ分けである。例えば,ある方言では平叙文専用の形式を確認要求表現に用いることがあり,また,別の方言では疑問文に現れる形式(主に否定疑問形式)を確認要求表現に用いる。この類型化を通して,日本語における平叙文と疑問文の連続体を記述するための枠組みを考えることが,本研究の最終的な目的である。 研究の中間年度である平成25年度は,方言対照のための枠組み整備を中心におこなった。前年度に予定よりも早く着手した対照研究の試行を引き続き進めたものである。具体的には次の3点にまとめられる。 1.方言対照のための枠組み整備:現代標準日本語研究における確認要求表現の先行研究を整理し,そこに方言の記述に必要な用法を組み込む作業をおこなった。この枠組みを他の要地方言に適用してみて,足りない部分を補っていくことによって,最終的な調整をおこなう。 2.近畿周縁部における確認要求表現の動態把握:紀伊半島における確認要求表現の言語動態について考察した。当該地域は近畿方言・中部方言の古態を残しており,そこでの年齢差・地域差をみることによって,すでに調査をおこなった関西方言(内省)・岐阜市方言(調査)の結果を時間軸上に位置付けることが可能になる。 3.「確認要求表現例文集」の整備開始:これまでおこなってきた確認要求表現の調査文をまとめ,確認要求表現調査票の整備に着手した。また,この調査文に対する回答(適格性判断とコメント)も併せて整理している。これらは最終年度に「確認要求表現例文集」として公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対照研究の枠組み整備については研究計画通りにすすんでいる。しかしながら,諸事情により現地調査に赴くための期間を確保することができなかったため,要諦方言の記述調査が予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画にもとづいて次の点を重点的に進める。優先度の順にあげる。 1.要地方言の記述調査:鹿児島県奄美大島,九州肥筑方言域における確認要求表現・同意要求表現・否定疑問表現についての現地調査 2.補充調査:岐阜県岐阜市,鳥取県鳥取市の記述のうち足りない部分を補充調査で補う。 3.データベース整備:「確認要求表現例文集」の整備をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
要地方言の記述調査のために旅費を確保していたが,諸事情により現地調査に赴くための時間を確保することができなかった。そのため,旅費分の予算が次年度に繰り越しとなった。 計画で最終年度におこなう予定であった対照研究の枠組みがほぼ完了しつつある。そこで次年度は枠組みを精密化するために要地方言の記述調査をおこなう。この調整によって,当初の研究計画通りの成果を出せると考える。
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