研究課題/領域番号 |
24720208
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
劉 志偉 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 助教 (00605173)
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キーワード | テニヲハ論 / 春樹顕秘抄 / 春樹顕秘増抄 |
研究概要 |
本年度は、『春樹顕秘抄』と『春樹顕秘増抄』の日本文法研究史における位置づけを明らかにするために、テニヲハ論研究史の整理を行った。 中世を中心に行われた和歌におけるテニヲハの使い方を論じる歌学書、即ちテニヲハ論書は、その内容の文法研究における価値が現代の視点から見て低いことから、さほど焦点を当てられて来なかった。福井(一九六四イ、ロ)、根来(一九八〇)、テニハ研究会(二〇〇三)、根上(二〇〇四)といった専著のほか、飯田、井上、佐田、佐藤、永山らによる一連の個別研究が挙げられるが、決して主要な研究テーマとはされていない。テニヲハの研究史に関しては、山田孝雄の『国語学史要』(一九三五)『国語学史』(一九四三)をはじめとしていくつかの記述があるが、この数十年の間に世に出された日本語史の概説書に、説かれている内容は、いずれも井上(一九六四)と根来(一九八〇)の域を出ていない。 研究代表者は、近年の最新研究成果をも取り入れつつ、漢文訓読に触発されたテニヲハ意識から日本語の特徴に即したテニヲハに関する言及、そして秘することに徹した和歌作法上のテニヲハ専論からその秘伝主義から脱しようとする過渡期のテニヲハ論へという流れを追ってテニヲハ論研究史の再整理を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究自体は順調に捗っておりますが、考察及び分析が進む中で新たな課題が出てまいりました。この課題は、研究代表者が従来行われてきた主張を増強できるものと考えられますが(「今後の研究の推進方策」を参照されたい)、これを整合的に説明を行うのに当初の研究計画に比べてやや遅れている現状です。
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今後の研究の推進方策 |
これまで「姉小路式」の直系増補本系列のみを研究対象としておりましたため、『春樹顕秘抄』と『春樹顕秘増抄』が直接な研究資料となっておりました。考察と分析に進むにつれ、『春樹顕秘増抄』の著者である有賀長伯による別の著作『和歌八重垣』の記述にも目を配る必要が出てまいりました。今後は、直系増補本系列に軸を置きつつ、有賀長伯のテニヲハ観を明らかにすることにより、『春樹顕秘抄』と『春樹顕秘増抄』の日本文法研究史における位置づけを整合的に論じてまいります。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度予定していた研究発表が、新たな問題点を調査するため来年度にずれこむことになりました。これに伴い、投稿論文の日本語母語チェックに対する謝礼も来年度に支払うことになります。 以上の事情により、次年度使用額が生じた次第です。 参考資料の購入、資料調査と研究内容の打合せ 学会発表による出張
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