本研究では、Maezawa (2008)で提示した不連続AP構文(DAPC)の分析の拡張を通して、名詞後位修飾とDAPCに現れる幾つかの形容詞クラスの語彙特性を明らかにすることを目標とした。特にtough形容詞に着目し、tough構文の主語が補文内に由来する可能性を検討した。再構築の事実の検討から、tough主語の繰上げ分析の問題が明らかとなる。本研究では、位相理論から帰結する意味・音韻部門での再統合過程の考察を通して、tough構文では、補文内で基底生成されたNPが、再統合の結果主節で導入されるDの補部として現れると結論した。また、この分析が関係節に於ける再構築にも拡張されることも示した。
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