研究課題/領域番号 |
24720218
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
藤原 康弘 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (90583427)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際英語 / 「日本英語」 / コーパス言語学 / 語用論 / 学習者 / 使用者 / 英語教育 |
研究概要 |
本研究の主たる目的は,日本人英語使用者コーパス(JUCE)を利用し,国際英語としての「日本英語」の語用論的特徴を探ることである。JUCEとは,日本人英語使用者,即ち「日本語を母語とし,日本で小中高の教育課程を経て,仕事で英語を使用するもの」(藤原 2006, Fujiwara 2007b)により用いられた英語の集積データである。当コーパス分析を語用論的見地からすすめ,「日本英語」の特徴を探索中である。また研究計画として以下の段階を踏み,研究を進める予定であった。1)コーパスの校正,校閲,2)JUCEにおける語用論的分析(法助動詞・法副詞・接続表現等),3)国際英語としての「日本英語」の特徴に関する総括。 現状の探索分析の結果報告として,法助動詞においては,日本人英語使用者はshould/mustという比較的意味合いの強い法助動詞を頻用する可能性が高いことが示されている。また当使用傾向は,過去の大学生等を対象とした「学習者」コーパス研究においても継続的に指摘されており,社会義務的認識の強さを表す可能性が示唆される(Hinkel, 1995)。すなわち1)内円英語話者の英語とは異なり,2)かつ学習段階にある日本人学習者と習熟段階にある日本人英語使用者の英語に通底し,3)かつ日本語,及び日本文化を背景とすることが高いと推定される要素,即ち日本語及び日本文化を基盤とする「日本英語」の特徴を一定程度示していると言える(本探索分析の結果は大阪大学大学院言語文化研究科,博士学位論文として提出されており,平成25年度末に発刊予定)。 本研究を進め,日本人的な語用論的英語使用の特徴を一定程度把握した際は,現状の無理に英語母語話者の鋳型にはめる単一言語話者ベースの英語教育から,日本人英語使用者を目指す二言語併用者ベースの英語教育を構築することを可能にする意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度内に射程としていた分析対象項目の多くを網羅できていない。その主たる理由は,学内で進行する①文部科学省特別経費プロジェクトにおける別研究,及び庶務があることと,自身の②博士論文提出を同年度内に行ったためと考えられる。 しかしながら,①の自身が担当する研究はコーパス技術に深く関連があることと,②は本研究課題である「日本英語」の語用論的特徴の解明を一部含めている。それゆえ,一時的に遅れていると考えられるが,総じて研究テーマに関するリソースは増大していると思われる。 しかしながら,最終年度である平成25年度の前半は,博士論文の出版関連業務に一定程度,時間を割かれるため,今後の進捗状況にも不安は残る。しかしながら,研究成果を公開していくことにも同様に力を入れたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,積極的に情報発信を行うことにより,関連の国内外の専門家よりフィードバックを得て,研究を進めることを考えている。 当報告書,執筆時(4月)において,既に1件の全国規模の学会におけるシンポジウム(日本「アジア英語」学会:6月)の依頼を受けた上,1件,コーパス言語学を代表する国際学会(Corpus Linguistics 2013:7月)における発表がアクセプトされている。また上述のように,本研究内容を一部含む,申請者の博士学位論文は平成25年度末に刊行を予定している。このように,研究成果を積極的に発信していくことにより,現在の研究内容を深めていく所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画にもあるように,平成25年度は研究成果を発表する際に必要な旅費と,専門関係図書の拡充に使用させていただく予定である。
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