研究課題/領域番号 |
24720222
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
小深田 祐子 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 講師 (50466653)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 言語学 |
研究概要 |
本研究は、英語と日本語の所有表現に焦点をあて、特にhave, getなどの動詞を含む構文を扱い、所有の概念が文法にどのような影響を与えるのか、その根底に潜む認知的な要因を探ることに主眼をおくものである。とりわけ、意味・語用論的な観点でまず、初年度は、その手始めとして、所有動詞の受動可能性とその成立条件を明らかにした。 一般的に、状態動詞は受動文には生起できないとされる。なぜ状態動詞が受動不可能であるかは、Bolinger(1975)の影響性(affectedness)という概念で説明される。 しかし、状態動詞と考えられる所有動詞は、受動文に生起可能な場合がある。所有動詞の受動態を扱った先行研究は、それほど多くはないが、それぞれの見解は異なる。特に所有動詞possessについての意見が一致しない。ある研究では、受動不可能とされる一方で、他の研究では、受動可能とされ、また別の研究では、その可能性は、表される所有概念によって流動的だとされる。そこで、コーパスを用いて実際のデータと比較したところ、いずれの先行研究の見解とも異なり、表される所有概念に関わらず、受動可能であることが分かった。 そして、所有動詞の受動態が適格になるかどうかを決定しているのは、その動詞に内在する「過程」という概念であるということを主張した。またこの主張は、所有動詞以外の達成動詞(創造動詞)の受動可能性にも有効であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、所有動詞の受動可能性の成立条件を明らかにすることを目的としており、おおむねその目的は達成されたと考えているため。今後の課題としては、所有動詞のhaveがなぜ受動不可能であるのかという点を明らかにしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、所有動詞haveとそれに関連する獲得動詞も含めた構文を扱う。とりわけこれらの構文に観察される定性効果についての考察をおこなう。また扱う言語を、英語だけに限定せずに、日本語との比較検討も視野に入れる。発展的な課題としては、日本語のコピュラ文をも射程に入れて研究を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画と研究方法が多少変更になったため、研究費の使用にも変更が生じた。 また、平成24年度に必要な消耗品購入や学会等参加旅費は、学内の研究費を優先して使用したため、次年度への繰越金が発生した。 平成25年度においては、資料・情報収集のための関連書籍の購入や文献複写、それに伴う消耗品の購入、また学会や研究会、打ち合わせ等への参加に関わる諸費用等に充てる。
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