本研究では、まず主格目的語を持つアイスランド語に見られる長距離再帰代名詞に関する調査を行い、主格主語と一致する長距離再帰代名詞の認可に主格付与を担う機能範疇Tが関わっていると主張した。次に主格目的語を持つ日本語の複合動詞句の統語構造を考察し、主格目的語の主格付与は主語要素への主格付与と同じ機能範疇Tが行っていると論じた。よって主格は普遍的にTにより認可され、アイスランド語や日本語のように主格目的語を持つ言語には、英語などと異なり、外項を有するが格付与を行わないvが存在し、目的語要素へのTによる主格付与を可能にしていると結論づけた。
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