研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果及び研究期間全体を通じて実施した研究の成果は、以下の4点にまとめられる。(i) これまでに行った文献調査で、リストに漏れた文献や新しく出版された文献をリストアップし、当該研究課題に関係のある文献リストを完成させた。また、所属機関に所有していない文献や、手に入らない文献に対しては、現地に赴き文献収集を行った。(ii) Used to Beの構文化に関する研究をまとめた。具体的には、used to beというstringには、一部のアメリカ口語英語では新たな構文的使用が見られると主張したものである。言い換えると、used to beが文頭に用いられ、その後に節をとり、「過去の状況がもはや現在は成立していないことを表すマーカー」として用いられる使用法が一部のアメリカ口語英語で見られるというものである。この研究では、COCAから共時的データを、COHAから通時的データを調べた。また、used to be 構文の発達プロセスを考察したが、used to be 構文は[it used to be that節]という形式から派生したと主張した。以上の研究は、『言葉のしんそう(深層・真相)ー大庭幸男教授退職記念論文集ー』(2015)「Used to Be の構文化に関する一考察」で報告した。 (iii) 日本語「おそらく」の研究では、Heine, Bernd and Hiroyuki Miyashita (2007)の論文をもとに、ドイツ語のdrohen (to threaten)が機能語として振舞うように、日本語の「おそらく」も内容語「おそろしい」から機能語として文法化している現象の一例であると分析した。 (iv)認識様態性と主体性は関連している概念であるが、概念化の過程により区別されるものであることを考察した。
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