研究課題/領域番号 |
24720232
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
房 賢嬉 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 研究院研究員 (60625002)
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キーワード | 協働 / 日本語音声教材の内容分析 / 自律的教授能力 / ピア・モニタリング活動 / 自己モニタリング力 / 日本語音声教育 / 韓国 / 教師研修 |
研究概要 |
1. 前年度に行った教師研修会の成果と課題の分析:韓国で日本語教育に携わっている教師を対象にしたワークショップにて音声教育の教師研修を行い、収集したデータを分析した。本研修を通じて、教師たちは自分の発音の知覚・産出過程を能動的に認識し、また協働的な話し合いを通して様々なリソースに基づく聞き取り・発音基準の構築が可能であることに気づきを得ていた。教師たちが現場で学習者の発音学習における認知過程を支え、自己モニタリング力を育成するために、教師がその認知過程を経験していれば、音声の知覚・産出につまずきを感じる学習者にアクセス可能なリソースに対する助言や問題解決につながる問いを提供することが可能になると考えられる。一方、本研修会で追体験したピア・モニタリング活動を既存のカリキュラムの中で応用することや、使用する教科書の選定に困難を感じている教師がいることが明らかになった。 2. シラバスの改善及び他の教師研修プログラムとの連携:上記の課題を踏まえ、教師研修のためのシラバスを改善した。具体的には、自分の実践の中でどのような応用が可能であるかを議論し、共有することを通して授業改善とリソースの拡大を図るものである。また、本教師研修プログラムは、音声教育に特化したプログラムであるため、他の教師研修プログラムとの連携や長期的な教育実習への発展ができるようなデザインの工夫が必要であった。そこで、平成25年12月に、韓国日語教育学会主催のワークショップ「ピア・ラーニングの授業デザインの実際」に本研修プログラムを組み込んだ形で行うことにより、他の教師研修プログラムとの連携が可能であることを示した。 3. 日本語音声教材の内容分析:早稲田大学の日本語教師4名と協働し、日本語音声教材の内容分析を行った。月1回の勉強会を設け、文献講読を通して分析観点を検討し、分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、【1】教師の現状と課題の整理、【2】シラバス作成・実施、【3】プログラムの構築、という3つのステップに沿って進めている。以下は進捗状況である。 【1】質問紙調査やインタビュー調査、および教材分析:日本語音声教材の分析は済んでおり、投稿を向けて研究を進めている。質問紙調査やインタビュー調査は、26年度に実施を予定している。 【2】教師研修のためのシラバスを作成し、韓国で日本語教育に携わっている教師を対象にしたワークショップにて音声教育の教師研修を行い、教師の学びを明らかにした。 【3】【1】と【2】の結果をまとめ、持続可能性音声教育を担う教師研修プログラムを構築する。以上の進捗状況から、計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、質問紙調査やインタビュー調査を以下の方法で進める。 (1)質問紙作成のための調査項目の検討:谷口(1991)の行った調査項目の修正 (2)質問紙作成と調査(100人程度)、インタビュー調査(15人程度) (3)質問紙データの統計処理、インタビューの録音データの文字化 インタビューデータは、M-GTAの手法で分析し、日本語教師を取り巻く現状を探る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初1年目に行う予定であった質問紙調査やインタビュー調査を3年目に実施することになったため、当該助成金が生じた。 質問紙調査やインタビュー調査の実施にあたり、調査協力者への謝金および研究協力者への謝金、情報公開のためのホームページ作成などに使用する。
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