本研究の目的は、日本語学習者のパソコンを用いた作文過程を明らかにすることである。平成24年度は、約15名の調査、プロトコル作成、質的分析を行った。韓国語母語話者と英語母語話者の参加が予定より少なかったため、24年度は中国語母語話者の分析を主に行った。パソコンを用いた作文過程を明らかにする上で参考になるデータは、手書きでの作文過程のデータであるが、比較したところ外部リソースの使用状況が大きく異なったため、24年度は特に外部リソースの使用状況の違いについて質的な検討を行った。中国語母語話者において、手書きの作文過程には見られない、パソコンを用いた作文過程に特徴的な行動は以下の通りである。 「Weblio英和和英辞書に英語または日本語を入力し、(複数の辞書による)日本語または英語による解説を読むこと/そのままペーストして用いること」、「Wikipediaに日本語を入力し、日本語による解説を読むこと/そのままペーストして用いること」、「グーグル翻訳に英語を入力し、外来語の綴りを確認すること」、「グーグル翻訳に中国語で文を入力し、日本語翻訳を見ること」、「グーグル翻訳に日本語で文を入力し、中国語翻訳を見ること」、「拡張機能RikaikunをインストールしたGoogle Chlomeを用い、漢字の読みを確認すること」。 手書きの場合でも電子辞書を用いることはできるが、パソコンで作文を書く場合はより豊かな外部リソースを利用していることが24年度の結果から示唆された。
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