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2013 年度 実施状況報告書

日本語学習者のパソコンを用いた作文過程の探求

研究課題

研究課題/領域番号 24720237
研究機関国際教養大学

研究代表者

石毛 順子  国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (40526050)

キーワード作文過程 / 日本語学習者 / パソコン
研究概要

本研究の目的は、日本語学習者のパソコン(以下PC)を用いた作文過程を明らかにすることである。平成25年度は、約10名のデータ収集、プロトコル作成、質的分析、量的分析を行った。25年度は24年度に引き続き、中国語母語話者の分析が主であった。
まず、中級の中国語母語話者の1回の作文過程において発音と表記方法が改善している傾向があることを見出し、質的に分析した。中国語母語話者は想起した漢語を手書きの場合はそのまま書けばよい。しかし、PCで入力する際には発音を正しく習得した上で表記と一致させて入力させなければならない。PCを用いることで学習者は自分の発音や表記の誤りに気づくことができ、誤りを繰り返し修正することで正しい発音と表記を身に付けており、一つの作文を書く短い時間内であるとはいえ、手書きの作文過程とは異なる発達が見られた。
次に、上級の中国語母語話者の作文の長さと時間を、PCを用いた場合と手書きの場合で比較した。PCを用いたほうが作文の長さは短かったが、所要時間に差は見られなかった。PCを用いたほうが作文の長さが短かった要因として考えられるのは、手書きの作文では上級学習者であれば漢字で書けるであろう語彙がひらがなで書かれていたことと、PCでは内容や構成を再検討するために不要な部分を削除するのが容易なことである。作文過程を見てみると、手書きでは段落を書き直したり段落や文の順番を変えたりというような大幅な削除や修正をするということはほぼなく、語彙単位の修正が多かったが、PCの場合はコピー&ペーストを用いて文を移動させたり、段落ごと削除して再度書いたりするような大きな修正があった。作文の長さに差があるにも関わらず所要時間に有意差が見られなかった要因は、PCを使うことで誤りに気付いたり、潜在化していた誤りが表出したりしたことでその修正に時間がかかったためであると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度計画では25年度に行うのは調査、プロトコル作成、質的分析(作文過程における思考活動のカテゴリー作成・発表・再検討)、量的分析(思考活動カウント紙と筆記用具を用いた作文過程における思考活動の頻度との比較分析)であった。調査人数に若干の不足はあるが、量的分析まで進んでおり、おおむね順調に進展していると言えるだろう。

今後の研究の推進方策

予定通り26年度は引き続き量的分析そして新たに結果発表を行うが、25年度の調査人数が予定より少なかったため、26年度も引き続き調査を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 中国語を母語とする中級日本語学習者におけるパソコンでの作文過程 -手書きの作文過程との比較から-2014

    • 著者名/発表者名
      石毛順子
    • 学会等名
      日本語教育学会春季大会
    • 発表場所
      創価大学
    • 年月日
      20140601-20140601
  • [学会発表] 中国語を母語とする上級日本語学習者におけるパソコンと手書きでの作文の量と所要時間の差異2014

    • 著者名/発表者名
      石毛順子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第25回大会
    • 発表場所
      京都大学百周年記念館および吉田南キャンパス
    • 年月日
      20140322-20140322
  • [学会発表] 中国語を母語とする中級日本語学習者のパソコンを用いた作文過程での発音と表記方法の発達2013

    • 著者名/発表者名
      石毛順子
    • 学会等名
      日本教育工学会第29回総全国大会
    • 発表場所
      秋田大学
    • 年月日
      20130921-20130921
  • [学会発表] 日本語中級・上級の中国語母語話者のPCによる作文過程―外部リソースの使用の観点から―2013

    • 著者名/発表者名
      石毛順子
    • 学会等名
      日本教育心理学会第55回総会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      20130817-20130817

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公開日: 2015-05-28  

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