本研究は、学習スタイルに注目し、触覚的補助を用いた特殊拍指導の実践と効果の検証を通して、学習スタイルと発音指導の関係を明らかにすることを目標としている。 平成25年度は、平成24年度に収集したデータの整理と分析、および、研究成果の報告を中心に行った。データの整理においては、昨年度、指導前のプレテストと指導後のポストテストで収録した「語の読み上げ」、「文の読み上げ」、「絵を見て話す」の3つの課題のうち、まだ作業が終わっていなかった「絵を見て話す」の文字起こしを行った。そして、評価作業が実施できるように、文字起こしの中で評価の対象となる語にハイライトと番号付けを行った。データの分析としては、「語の読み上げ」では、語ごとに切り出した音声、「文の読み上げ」では、文ごとに切り出した音声、「絵を見て話す」では、絵を見ながら話している音声(評価の対象としたのは、ハイライトした語のみ)を用いて、その発音の自然さを日本語音声教育の専門家3名が5段階で評価した。そして、指導前と指導後の評価を比較し、指導によって発音に伸びが見られたか、学習者が持つ学習スタイルによって伸びに差があったかを統計処理を行って分析した。分析結果は、2013年度日本語教育学会秋季大会、および、第24回第二言語習得研究会全国大会において口頭発表を行い、明治大学国際日本学研究 第6巻第2号(2014)では、論文として報告した。また、現在も分析結果の一部を学会誌に投稿中である。 本研究の結果から、学習スタイルに注目した発音指導がさまざまな学習スタイルを持つ学習者の特殊拍の習得に影響を与えていることが確認され、発音指導において、学習スタイルを考慮した指導法を用いることの重要性が示唆された。触覚的補助を用いた特殊拍の発音指導を通して、学習スタイルと発音指導の関係の一端を明らかにできたことは、本研究の成果であったといえる。
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