研究課題/領域番号 |
24720247
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
濱田 陽 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00588832)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シャドーイング / リスニング / 動機減退 / 自信 |
研究概要 |
平成24年度の研究の目的は、リスニングにおける動機減退理由としての「自信」についての情報収集を行い、シャドーイングを中心としたリスニング指導法における学習者心理に関する情報収集を行った上で、試験的実験を行うことであった。 情報収集のために、平成24年度は、「全国英語教育学会」「全国語学教育学会」「アジア英語学会」「日本教育心理学会」などに参加し、さらにシャドーイング研究をしている研究者との討議の機会も設けた。また、大学生を対象とした研究も3件(以下A,B,C)実施した。 A(1)シャドーイングを用いた実験を80名を対象に行い、リスニング力の伸長を測定(効果あり)。(2)実験協力者を動機別(高低)に分類し、再分析(動機の高い群のみに効果あり)。(3)実験協力者から、動機の高低・リスニング力伸長を基準としてインタビュー対象者を抽出し、「自信」「動機」とシャドーイングの関連について分析した。 B 内容を先に理解させてからシャドーイングを行う群(24名)とシャドーイング後に内容を理解させる群(32名)を設定し、実施した。(前者に効果あり) C 補足とし、英語の実用性を考慮し、英語母語話者以外の英語のシャドーイングのしやすさについて65名の大学生を対象に実験を行った。その結果、英語母語話者よりも非母語話者の方が日本人学習者にとってはシャドーイングがしやすいという結果が得られた。 以上より、動機の減退した学習者への配慮点とシャドーイングと動機・自信の関連性が明らかになり始め、同時に、シャドーイングを行う場合は、内容を先に学習させることが重要であり、音声教材は幅広く使用が可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動機減退学習者に配慮したシャドーイング指導法の開発と、実践的マニュアルを作成するという最終的な目的を達成するために、平成24年度は、まず、リスニングにおける動機減退理由としての「自信」についての情報収集を行い、シャドーイングを中心としたリスニング指導法における学習者心理に関する情報収集を行った上で、試験的実験を行うという計画をたてた。補足的に、シャドーイングのしやすさの調査として、使用する音声が英語母語とそうでない場合についても比較した。 結果として、教育心理学・認知心理学・英語教育の様々な観点から学習者の心理とシャドーイングに関する情報収集をすることができ、シャドーイングを行う際の動機の減退した学習者への配慮点と、シャドーイングと動機・自信の関連性を検証することができた。また、シャドーイングをより効果的に行う方法も発見することができた。また、使用する音声教材は英語母語話者に限らなく、積極的に非母語話者の音声も使うことでよりシャドーイングの効果が実践で役立つ事も示唆された。以上より、計画はおおむね予定通りで順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究の目的は、初年度の情報収集と試験的実験から得られた知見・結果をもとに、心理面・効果面・評価面についての実践研究を行い、理論と実践の整合性の確認を行う事である。目的を達成するために、以下の実験を設定する。 (1)学習者の心理面を考慮して、シャドーイングの練習形態についての比較検討を行う。具体的には、ペアワークを通して学習する方法とICレコーダーを用いて自己内省をする方法の効果を検討する。 (2)シャドーイングの評価を検討するために、リスニング力・シャドーイング復唱力・音声知覚力などの関連性を検証し、より適切に学習者を評価できるような方法を考察する。 (3)シャドーイングをより効果的に用いるために、従来は一定速度で話される音声教材を使用していたが、速度を変えることが、より効果的に働くかどうかを検討する。 これをもとに平成26年度は、理論と実践の整合性のとれたシャドーイング指導ガイドラインを作成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献研究、データ入力に対する謝礼、インタビュー等の研究協力謝礼、論文執筆の際の英文校閲料。情報収集や成果発表のため、次年度は、全国英語教育学会(8 月)、全国語学教育学会(10月)に参加し、可能であれば、教育心理学会(8 月)、日本リメディアル教育学会(8月)などの国内学会、ハワイTESOL (2月)などの国外の学会への参加も検討している。
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