研究課題/領域番号 |
24720252
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松野 和子 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (80615790)
|
キーワード | コロケーション / コーパス / 言語情報処理過程 / 第二言語習得 / 反応時間 / プライミング / 言語転移 |
研究概要 |
本研究の目的は、英語学習者と日本語学習者におけるコロケーションの情報処理過程について、学習者の母語やコロケーションの統語形式によって処理方法が異なるかを明らかにすることである。 第一に、初年度では、(1)語彙の情報処理過程、(2)文の情報処理過程、(3)イディオムの情報処理過程と統語処理に関する先行研究に基づき、コロケーションの情報処理過程のモデルを構築したが、平成25年度でも、先行研究の収集を引き続き行い、構築されたモデルの検討を行った。第二に、初年度の実験において、コロケーション表現の意味を理解する情報処理方法は一律ではないが、英語母語話者では概して二重処理が用いられ、日本人英語学習者では分解処理や全体処理が用いられることが考察されたが、平成25年度では、同様の処理過程を持つコロケーション表現に共通する特徴や学習者の各表現に対する学習経験などに基づき、コロケーションの情報処理過程についてさらに詳細な分析を進めた。また、分析の際は、コロケーションの定義についても検討した。第三に、初年度では、英語を対象とした実験が行われたが、平成25年度では、日本語を対象として、コロケーションの情報処理過程モデルを検証する実験準備が行われた。具体的には、日本語コーパスに基づきコロケーションを抽出し、実験項目を検討した。また、個人情報の扱いや実験に関する説明書、同意書、実験参加者の属性(年齢や性別等)や学習者の習熟度を把握するためのアンケート用紙などを作成した。加えて、(a)コロケーションの反応時間と自由連結表現の反応時間を比較する実験1と(b)コロケーションか自由連結表現のいずれかをプライムとして呈示した後に、コロケーションを構成している一単語と連想関係にある単語をターゲットとして呈示する実験2を行うための実験装置の動作やユーザーインターフェースの適切性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成25年度に日本語を対象とした実験を行い、平成26年度に(a)英語を対象とした実験の結果と(b)日本語を対象とした実験の結果に基づいてコロケーションの情報処理過程に関する分析を行う予定であった。しかしながら、平成25年度の段階で、英語を対象とした実験結果が既に得られていたため、予定よりも早い段階で、英語母語話者と日本人英語学習者におけるコロケーションの情報処理過程を明らかにすることを試み、その研究成果を公開するほうが望ましいと判断した。英語を対象とした実験結果のみを先に(平成26年度ではなく平成25年度に)分析することを優先したため、特に、当初の予定よりも日本語を対象とした実験への着手が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、 (1)日本語を対象として、コロケーションの情報処理過程モデルを検証する実験を行い、その実験結果を分析する。その際、コロケーション表現の特徴についても考察する。 (2)これまで行ってきた実験に対する結果や分析と(1)で得られた結果や分析を組み合わせ、英語と日本語を対象に、母語話者と学習者におけるコロケーションの情報処理過程を明らかにする。その際、英語学習者と日本語学習者の情報処理過程を比較しつつ、学習者の母語やコロケーションの統語形式によって処理方法が異なるかを考察することを試みる。 研究を遂行する際は、実験の進捗状況に応じて、実験参加者数の増減を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、平成25年度に日本語を対象とした実験を行い、平成26年度に(a)英語を対象とした実験の結果と(b)日本語を対象とした実験の結果に基づいてコロケーションの情報処理過程に関する分析を行う予定であった。しかしながら、平成25年度の段階で、英語を対象とした実験結果が既に得られていたため、平成26年度ではなく平成25年度に、英語を対象とした実験結果のみを先に分析し、英語母語話者と日本人英語学習者におけるコロケーションの情報処理過程を明らかにすることを試み、予定よりも早い段階でその研究成果を公開することとした。そのため、特に、当初の予定よりも日本語を対象とした実験への着手が遅れており、次年度に繰り越される使用額が生じた。 平成25年度に予定されていた実験を行うため、次年度に繰り越される使用額を用いる計画である。
|