研究課題/領域番号 |
24720258
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鬼田 崇作 広島大学, 外国語教育研究センター, 特任講師 (00611807)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 語彙習得 / 心的辞書 / 語彙表象 |
研究概要 |
第二言語(L2)学習者の語彙知識はall-or-nothingではなく,語彙の部分的な習得の段階が想定される。本研究の目的は,(1) 語彙の部分的知識の実態を,L2心的辞書における語彙表象の観点から明らかにすること,(2) 教育的介入により,語彙の部分的形式がどのように変化するのかを明らかにすること,の2点である。 平成24年度においては,L2の心的辞書における部分的な語彙表象の実態を明らかにすることを目的とし,以下のとおりに研究を行った。 (1) 心的辞書内の語彙表象に関する理論的枠組を概観し,Perfetti (1992) において提案されているLexical Quality Hypothesisが,語彙の部分的表象の様相を最も適切に表現していることを示し,この仮設を理論的枠組みとして採用することとした。(2) 心的辞書内の語彙表象を実証的に検討する手段として単語認知研究に着目し,その研究手法および現在までの研究成果を検討した。(3) 単語認知研究の成果に基づき,本実験において使用する材料と方法を確定した。(4) 本実験のパイロット実験を行い,実験材料と実験手続きの妥当性を確認した。(5) 習熟度の異なる日本人英語学習者を対象として,単語認知実験を行い,データを収集した。 3年計画の2年目となる平成25年度は,単語認知についてのデータ収集を継続して行い,日本人英語学習者の部分的語彙表象の実態を明らかにする。その後,その語彙表象が教育的介入によりどのように異なるのかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画調書においては,平成24年度の研究計画として,(1) 実験材料の選定,(2) 事前調査及び予備実験の実施,の2点を挙げていた。そのための方法として,学会参加や文献調査を通した情報収集や各種データベースの参照,また小規模の被験者を対象とするデータ収集を行う計画であった。 平成24年度は,先行研究の概観やデータベースの参照により,実験材料を選定した。また,パイロット実験を行い,実験の材料と方法の妥当性を確認した。その後,本実験のデータを一部収集した。以上のことから,当初の計画通り,本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては,24年度に開始した本実験の追加データを収集する。これにより,24年度から開始した実験のデータ収集を終了させ,データの分析及び研究成果の発表を行う。 また,25年度は新たな実験を行う。24年度に開始した実験では,日本人英語学習者の語彙表象の現状を明らかにすることを目的とした。25年度に新たに開始する実験では,その語彙表象が,教育的な介入により,どのように変化するのかを明らかにすることを目的とする。この実験は,25年度中にデータ収集を終える予定である。その後,データの分析を行い,26年度において研究成果の発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度においては,新たな実験を行う予定であるため,被験者に対して謝金の支払いを行う。また,実験上必要な備品については,適宜購入することとする。さらに,24年度から引き続き,関連学会への参加を行い,情報収集に努めると共に,得られた研究成果を発表するために,国内外の学会へ参加する。
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