研究課題/領域番号 |
24720259
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
阪上 辰也 広島大学, 外国語教育研究センター, 特任講師 (60512621)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コロケーション / 第二言語習得 / 定型表現 / 学習者コーパス / 処理過程 |
研究概要 |
平成24年度においては,ライティングタスクによってコロケーションの処理過程を観察する実験を中心に行った。実験参加者は,コンピュータを使用して50分間のライティングタスクを行い,その際に入力された文字とその時間をすべてシステムに記録し,新たなコーパスを構築した。 データの分析結果として,まず,学習者の産出結果のみのコーパスを構築し,その表現を観察すると,一定の頻度で同じ表現を繰り返し使用していることが分かった。ただし,繰り返して使用された表現が,まとまりとして処理されているかどうかを判断することは困難なため,次に,システムによって記録された時間データおよび入力文字のデータの分析を行った。その結果として,高頻度の表現だけでなく,低頻度の表現であっても,まとまりをもたせて表現を産出することが分かった。この要因については検討中であるが,脳内で処理をしながら産出しているか,脳内で処理を終えてから産出しているかによるものではないかと考えられる。さらに,習熟度によって,ひとまとまりで処理できる表現やその頻度に違いがあることが明らかとなってきた。 さらに,コロケーションの認知実験を実施し,頻度の高いコロケーションと、頻度が高くない2語以上の組み合わせを実験項目として学習者に呈示し、その反応時間をコンピュータ上で計測した。結果として,高頻度表現がより速く処理されることが明らかとなったが,頻度以外の要因も関係することから,さまざまな要因統制を行った上で,新たな実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,ライティングタスクの予備実験および本実験を行い,データの収集を行なっている。さらに,コロケーションの認知実験についても,データの収集及び分析が進んでおり,概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ライティングタスクおよびコロケーションの認知実験の本実験を行う予定である。 実験によって得られたデータの分析を行い,25年度後半から学会発表および論文投稿を行うことを計画している。 現在,実験参加者を募集しているものの,分析に必要な人数が集まっていないが,所属先の教員や他大学への呼びかけなどを通じて対応する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては,初期に,データ解析用のワークステーション購入のために研究費を使用する。7月以降は,実験参加者に対する謝礼金支払いのため,および,学会発表のための旅費として研究費を使用する予定である。
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