本年度は、当該研究の成果に基づいた和書(一般書)の執筆と記述内容の充実を図るために必要となった情報収集及び文献調査を行った。前年度において、主要なデータの収集・分析は完了しており、研究成果は既に公表済みである。今回執筆にあたった図書は、学術図書という位置づけではなく、英語教師を志望する学部生や大学院生、あるいは新米英語教師を読者として想定した。当該研究を通して収集・分析したデータ、前年度までに学術図書及び口頭発表等の形で公表した研究成果を統合し、英語教師を志す学生や教職経験の浅い英語教師の様々な不安・懸念を取り除く、または軽減するためのリフレクション(省察・振り返り)活動(認知的活動)に焦点をあてた内容である。執筆の過程では、日本と同じEFL環境(外国語として英語が教授される環境)であるインドネシアの英語教員養成プログラムを訪問調査し、他国の「英語教師志望学生の不安・懸念」に関わる知見を得ることができた。日本の英語教員養成課程における教科教育等の授業で、副教材としても使用できるよう配慮し、教員養成課程を通して身につけるべき理論的知識(theoretical knowledge)を、非個人的な(impersonal)ものから個人的な(personal)なものへとどのように変容させればよいのか、また理論的知識を実践的知識(practical knowledge)とどのように関連付ければよいのか、可能な限り難度の高い専門用語を避け、平易な形で議論した。この和書の刊行については現在出版社と交渉中であるが、本研究に関連する実績の一つとして、洋書(一章;分担執筆)が出版確定となった。
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