研究課題/領域番号 |
24720266
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
中西 弘 東北学院大学, 文学部, 准教授 (10582918)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / リーディングスパンテスト / 前置詞句付加構文 |
研究概要 |
日本人英語学習者は、動詞の項構造に関する知識を利用しながら統語解析を行うのか、また、ワーキングメモリ容量の違いにより、その利用度が異なるのかを調査するため、日本人英語学習者58名を対象に実験を行った。実験に用いられた英文は、前置詞・名詞句の種類に応じて4種類が用意された (1 The lady gave a letter to her sister to a friend a month ago. 2 The lady gave a letter for her sister to a friend a month ago. 3 The writer gave the words to the play to a girl during the break. 4 The writer gave the words for the play to a girl during the break.)。英文は1語ずつコンピュータ上に提示され、被験者のペースで読み進められた。1文提示後には内容確認のため2択問題が画面上に提示された。さらに、コンピュータ版リーディングスパンテスト(Nakanishi & Yokokawa, 2011)により、実験参加者のワーキングメモリ容量が測定された。実験の結果、ワーキングメモリ容量の大きな読み手ほど速く文理解を行うことができることが明らかになった。また、日本人英語学習者は、ワーキングメモリ容量に関わらず、動詞の持つ情報(後続する前置詞・名詞句)を利用し文理解を行っていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、日本人英語学習者の、動詞の項構造に関する知識と統語解析の関係について、実験計画、実施、分析、考察を行った。研究内容は、学会American Association for Applied Linguistics (AAAL) 2013 でポスター発表にて公表された。また、東北英語教育学会紀要第33号にて掲載される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
日本人英語学習者は、先行文脈情報を利用しながら統語解析を行うのか、また、ワーキングメモリ容量の違いにより、利用度が異なるのか調査することが目的である。先行文脈のバイアス(動詞句付加支持、名詞句付加支持)とNakanishi(2012)で用いた前置詞句付加構文(動詞句付加構造、名詞句付加構造)が一致する条件と一致しない条件を比べ、 非曖昧領域の読み時間に差が現れるかどうか(GP現象が現れるかどうか)を調査する。 実験参加者は、日本人英語学習者約50名を予定している。実験参加者は、1)コンピュータ版リーディングスパンテスト(Nakanishi & Yokokawa, 2011)、2)先行文脈と前置詞句付加構文を含む文処理テストを行う。 1)コンピュータ上に次々に提示される英文を音読しながら文末単語を記憶するというものである。2文から成る2文条件から、5文から成る5文条件まで3セットずつ昇順で行われる。また、文処理を確実に行わせるため、文法判断を行いながら文末単語を覚えるように指示する。文法判断の正確性と文末単語再生率を含むe-f (error-free)得点をワーキングメモリ得点とする。 2) 先行文脈―動詞句付加構造支持文脈と名詞句付加構造支持文脈が、Nakanishi(2012)で用いた動詞句付加構造(例The woman visited the man with a car instead of walking.) 名詞句付加構造(例The woman visited the man with a car instead of the man with a bike. ) のフレーズ毎の処理時間にどのような影響が出るのか、Super-Lab Proを用いた心理言語学実験にて調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、資料収集にかかる諸経費、実験協力者・データ分析補助者に対する謝礼金、研究発表にかかる諸経費、論文執筆にかかる諸経費に使用させて頂く予定である。
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