研究課題/領域番号 |
24720267
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
中西 貴行 常磐大学, 人間科学部, 講師 (10406019)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多読 / 英語教育 / メタ分析 / 調整変数分析 / ER |
研究概要 |
今年度の研究では、過去に行われた英語多読研究を「メタ分析」を用いて統合し、英語多読効果の検証を行う準備を行った。このメタ分析を通して、様々な状況で行われた多読研究を統合し英語多読効果の調整変数分析に入っていく。 まず各研究の効果量を測定し、同じ座標に置いていった。その後、各研究で焦点を置いている項目ごとに分け、語数、冊数、研究期間によって違いが出るかどうか、その違いはどの時点から現れるかなどの細かい差異を明らかにしていくための準備を行った。このような細かい差異を明らかにすることで、実際の教育現場でどのように多読を使用していくべきかの示唆を与えることができる。準備段階の過程ではあるが、集めた論文を精査し、その結果をChallenges and implications of teaching and learning in Japan.と題して、 The 8th International Language Specific Purposes (LSP) Seminarで研究発表を行った。多くの研究に見られるp-valueを用いるのではなく、効果量を用いたためか多くの研究者から質問を受けた。 現在も日本国内外の多読に関する論文を集めたものから精査を行っている。ただ、なかなか論文の形で世に出てこない研究もあるため、学会に足を運び、様々な場面においての多読研究を集める予定である。そして、今年度の後半の成果を発表するために、2014年夏に行われる国際学会で発表を行うべく、現在アブストラクトを書いている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、集めて行った論文をデータベース化し、それぞれの研究の項目の分類には苦労したが、順調に進めていっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作成したデータベースに論文を随時追加していき、多くの多読論文を集めることが課題となり、一つでも多くの論文を網羅できるようにしていく予定である。集めた文献を精査し、定めた基準をもとに実証研究のものから順に、Comprehensive Meta-Analysisというソフトを用い、入力していく。この時に、基準に満たない研究はメタ分析に使用できないため、多くの論文を集めることが大切となる。このソフトを用いて、それぞれの入力した研究の効果量(d)を算出する。Cohen(1988)による基準では、d =.20は効果量が小さく、d =.50は中、d =.80は大となり、この基準をもとにそれぞれの効果量を見ていく。入力の際には、項目として研究者、年代、サンプル数、語数、多読の実施期間、扱った項目、研究手法を示す。この時に必要な情報を載せていない論文については、筆者に連絡してデータについて質問するなどの作業を行う。さらに分析方法において問題のある論文、例えば多重比較においてp値の調節がないものなどは、特に気をつける必要がある。 そしてある程度の研究が集まった時点で、一部分でも論文にまとめ、出版できればと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度もヨーロッパでのみ出版された書籍などを発見できれば、そのような関連書籍を購入していく。Extensive reading, meta-analysis, SPSSなどに関する書籍も同様である。その集めた情報の資料整理、データ入力の人件費が必要である。 そして、この研究では、国内外の学会での情報収集も欠かすことができないため、現在は3つの学会への出張を視野に入れている。
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