研究課題/領域番号 |
24720270
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
中川 知佳子 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (70580869)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究課題は、文脈内で提示された単語の意味は、単語そのものの意味を示すとは限らないことに注目し、文脈から構築される心的表象と語彙記憶保持・検索過程の関連を明らかにすることを目的としている。例えば I don’t like that fennec because it barked at me and bit me when I was a child. という文の場合、fennecはキツネの一種であるにも関わらずfennec = dog (犬) という表象が構築され、望まれる意味の獲得や意味アクセスが生じないと想定される。本年度の研究では、日本語と英語によって、心的表象の構築に違いが生じるかどうかを検証するため、日本人EFL学習者を対象として、日本語と英語のマテリアルを使用したオンライン読解課題を実施した。 日本語版:子どもの頃に吠えられ噛みつかれたので、私はそのXXXが好きではない。 英語版:I don’t like that XXX because it barked at me and bit me when I was a child. 文中のXXXには、カテゴリー階層から上位語 (動物・animal)・基本語 (犬・dog)・下位語 (柴犬・poodle) の3種類の目標語のいずれかが含まれており、自己ペースで読んだ後に反応語 (明示ターゲット) としても提示する。これらの他に非単語を使用し、語彙性判断課題を実施した。その結果、英語の読解では明示ターゲットと推論ターゲット間に有意差がなく、オンラインでの推論が起こっていたことを示す結果となっていたが、日本語での読解は、全てのターゲット間に有意差がないことが示された。これらの結果はEuroSLA(2012)において報告されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語と英語の文理解の違いに注目した調査を実施し、初年度の研究としては、概ね計画通りに実施できたと考えられる。しかし、実験手順において、提示するターゲットを被験者間要因とするか、被験者内要因とするかに大きな迷いが生じ、結果として被験者間要因としたことの妥当性を再度検証したいと考えている。また、日本語と英語でのマテリアルの性質を統制することが困難であり、今後は日本語母語話者と日本語学習者の違い、英語母語話者と英語学習者の違いにも注目しながら検証を行う必要性が感じられる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の研究では、初年度いおいて推論の生成が明らかとなったマテリアルを使用して、生成された推論が時間経過とともにどのように変化するかを再生課題から検証する計画を立てていた。しかし、現在までの達成度にも挙げたように、提示するターゲットを被験者間要因とするか、被験者内要因とするかについて、それらの妥当性を検証するとともに、マテリアルを統一した場合に、同様の結果が得られるかどうかを日本語母語話者と日本語学習者の違いから検証したいと考えている。そこで、2年目には、(1)初年度と同じマテリアルを使用し、被験者内要因で実施した場合には違いが生じるのかどうかを検証すること、(2)同一マテリアルを使用した場合には第一言語と第二言語間にどのような違いが生じるのかを検証することの2点を先に実施する計画である。その後、マテリアルの妥当性が検証されたのちに、再生課題を使用した検証の段階に進みたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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