研究概要 |
本研究は、英語アカデミックライティングで注目されているジャンル・アプローチを学習者の特性という観点から検討し、より効果的な教材作りへの示唆を得ることを目的としている。前年度の予備調査の結果を踏まえ、様々な背景を持つ100名の大学生・大学院生を対象にアンケート調査を行い、学習者特性を抽出した。アンケートと並行して学生は、Swales (1990)、Swales & Feak (2000, 2004)を参考に申請者が考案した、学術論文の序論について学ぶタスクを行った後、序論を執筆した。ライティングの成績でグループ分けを行い、抽出された特性と成績の関係を分析した結果から、序論スコア高得点および低得点の学生それぞれに特徴的な学習方略や学習スタイル、動機づけが明らかとなった。例えば、高得点学習者はテクストのパターンを見出す方略を用いている。続いて、教材使用について質的な考察を加えるためにインタビュー調査を行い、教材のインターフェースなどに対する感想を得た。また、教材にジャンル分析の結果を用いる方法の一つとして、テクストの構造と言語の特性を可視化する試みを行い、実行可能性を確認している。これらの結果を教材作成に活かすため、現行のアカデミックライティングの教科書を収集し、その内容やタスク、デザインを網羅的に調査し、改善点などを模索した。最後に、本研究から得られた知見を応用したデジタル教材の試作を行った。
|