研究課題/領域番号 |
24720276
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
水本 篤 関西大学, 外国語学部, 准教授 (80454768)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 英語教育 / 語彙学習 / 方略指導 / 自己調整学習 / 自己効力感 |
研究概要 |
本研究の目的は,1) 自己調整学習の枠組みを用いて,自律的な英語語彙学習を指導によって活性化させる方法を探り,そこから 2) より良い自己調整語彙学習指導モデルの具体的な提言を行うことにある。これまでの語彙学習方略研究では,認知方略やメタ認知方略のみに焦点を当てられるものが多く,学習者の動機づけ,目標設定,自己モニタリング,そして学習環境のコントロールなどの現実の学習において重要であると考えられる情意面が,どのように有機的にかかわっているかは明らかにされていない。そのため,本研究では,自己調整学習の枠組みを利用し,語彙学習方略指導モデルを構築し,外国語教育に資することを目的とした。 現在までに,研究で用いている自己調整学習の枠組みの検証,ならびに自己調整学習のプロセス(計画,実行,振り返り)を測定する質問紙と,能力の変化を測定するための語彙テストを作成した(平成24年度)。この成果は,平成24年9月にニュージーランドで開催された Independent Learning Association Conference 2012 で報告され,論文としても国際ジャーナルに掲載された(2本中1本は査読中)。 また,同時進行で,平成24年度には自己調整学習の枠組みを指導・学習に取り入れることで,どのように学習者の変化が起こるかを8ヶ月の縦断調査によって明らかにした。その成果についても,すでに論文として国際ジャーナルに投稿済みである。また,研究成果の発表として,平成25年6月に福岡で開催される国際シンポジウム(Vocabulary Symposium 2013)や,12月の国際学会(Vocab@Vic 2013, New Zealand)で発表予定である。平成25年度は違うレベルの学習者に適用できるかを探り,より良い自己調整語彙学習指導モデルの提言としてまとめる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書には「平成24年度には,自己調整学習の指導を行っている先行研究の成果をレビューし,より効果があると考えられる要因を選択していく。そのようなレビューが完了次第,実際にそのような効果があると考えられる要因を指導するパイロット実験を行って,次年度での本実験の準備をする。」という予定を記載していたが,上述のように,これまでに,研究で用いている自己調整学習の枠組みの検証,ならびに自己調整学習のプロセス(計画,実行,振り返り)を測定する質問紙と,能力の変化を測定するための語彙テストを作成した。また,その成果を国内学会の全国大会や国際学会,そして国際ジャーナルでも発表している。そのため,当初の計画以上に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度前半には本実験を行い,修正が必要な点を洗い出す。平成25年度後半に最終的な指導モデルの提案と,そのモデルの検証を行う。検証作業には外部の専門家の意見も取り入れ,よりよい指導モデルの提案を目指す。同時進行して,論文投稿や学会での口頭発表を行い,研究成果の公表も可能な限り行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究計画においては,前年度までで提案された指導方法を実施し,再度実験を行う必要があり,その中で授業の様子などを録画しておくためのデジタル・ビデオカメラが必要である。加えて,学習者へのインタビューを行うため,その際の謝礼や録音機材も研究費使用計画に含まれる。そして,得られた成果の発表,論文投稿などを行うため,それらに対する旅費(国際学会での発表旅費含む)や研究成果投稿料が必要である。
|