研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語学習者のテクストにおける言語学的特徴とライティング力の関係に関する基礎的研究を行うことである。26年度は、ライティング評価と学習者のテクストにおける言語的な複雑さ,流暢さ,正確さがどの程度関連があるかについて,過去の研究成果を統合すべくメタ分析を行った。メタ分析とは、関連した過去の研究を包括的に集め,先行研究を量的に統合する研究手法である。結果に影響を与える要因(調整変数)別の分析が可能であり、今までの研究から何がわかっているのかを客観的に示し、今後何を研究する必要があるのかを明らかにできるとされている(Norris & Ortega, 2000)本年度は特に、以下の3点を行った。 第1に、国内外の論文検索データベースや書籍等を調査し、先行研究をできる限り包括的・系統的に収集した。第2に、収集した文献を精査し、メタ分析に必要な情報 (例:相関係数、信頼性、標本数、調整変数に関する情報) を抽出し、コーディングを行った。第3に、コーディング結果を統合し、分析・考察を行った。本研究結果より、テクストにおける言語的な複雑さ,流暢さ,正確さとライティング評価の関係について、一定の傾向が明らかとなった。 研究期間全体を通じて、語彙の多様性指標と洗練性指標の信頼性や妥当性に関する基礎的な研究を行うとともに、研究成果を書籍、論文、インターネット上で発表した。また、ライティング評価に影響を与える言語的特徴として、メタディスコースの使用が考えられるため、日本人英語学習者がエッセイでメタディスコースをどのように使用するか、基礎的な研究を行った。また、上記のメタ分析を行うことで、英語学習者のテクストにおける言語学的特徴とライティング力の関係について基礎的な研究を行うことができたと考えている。
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