研究課題/領域番号 |
24720282
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小野 真嗣 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10369902)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 英語教育 / 教育工学 / 工学教育 / 高専教育 / 遠隔授業 / テレビ会議 / 環境教育 / 国際研究者交流(ニュージーランド・マレーシア) |
研究概要 |
本研究の目的は、即戦力・実戦力を有する技術者の養成機関「高専」の特色に立脚し、英語による発話・発表に困難を抱える高専生の為に、英語授業の中で完全英語環境を創出し、英語母語話者との技術分野での発話・発表機会を効果的に提供することによって、高専生自らが英語学習の必要性を認識し、自律的な英語発信力の学習活動を促進させる実践的授業運営方法を構築することである。本研究は、発信力となる英語発話促進に焦点をあてた実践研究であり、インターネット環境の利用によるテレビ会議システムを用いた国際遠隔授業を通じて、グループワークを主体とした企業現場の技術作業と同様、授業の取組課題を通じた学生間の英語協調学習としてのプロジェクト型言語学習(Project Based Language Learning)の構築を目指すものである。 平成24年度の研究活動としては、国際遠隔授業実施前におけるTOEICによる英語基礎力の現状把握、英語環境化の整備としての対象学生の通常授業におけるオールイングリッシュ指導の一部導入、及びそれらの評価としての学生アンケート実施を行った。また遠隔授業接続先であるニュージーランドのイースタン工科大学(EIT)との調整、新規接続先開拓としてマレーシアのマラ工科大学国際教育カレッジ(INTEC)への訪問などを実施した。研究代表者が所属する学生(高専生)の英語聴解力がいくぶん弱いため、英語を第一言語とする環境(ニュージーランド)に加え、民族間の意思疎通で用いる国内共通語としての性格を持つ第二言語としての英語環境(マレーシア)も用意することを検討するに至った。 2年目となる平成25年度では、本研究を継続実施し、遠隔授業実施後の中間・最終評価として、実践的な英語発表を通して、英語運用に関する学習効果測定を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては、これまでの実績より後期4回の遠隔授業の実施により、初対面の「自己紹介」、高専という特殊な教育研究機関に所属する意味での「学校紹介」、異文化交流や国際理解としての「自国文化紹介」、そして将来の技術者として国際的に活躍出来る様その訓練としての「各種技術相談」として、計4回の実施により、比較的難易度の低めのところから、目標となる技術分野での英語運用というスケジュールを組んでいた。 しかしながら、直前になって相手先のイースタン工科大学側の都合や、映像は出ても音声が出ないといった通信機器の突然のトラブルに見舞われ、念頭においてあった回数をこなすことができず、圧縮して行った結果、十分な語学力向上は見込めなかった。一方で、生の英語や母語話者に触れる機会としては絶大な力を発揮し、苫小牧という土地柄もあって外国人にそう多くは巡り合わないこともあって、興味関心の引き寄せ、取組への動機づけには一定以上の効果があったと感じている。 今後はこのあたりのトラブル回避に全力を尽くし、万全な体制で臨みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の進捗状況に基づいて研究を進め、平成25年度は概ね次のような過程で従事することを考えている。 ①英語発表力の改善状況と学習効果の中間測定(~5月): 事後の中間学力調査を行う。②構築した高専英語発表力指導法の中間評価(4~6月): 前年度に実施した指導方法について、学生の定着度を基に評価し、指導方法の見直しを図る。③英語発表力指導と継続的な改善(7~3月): 中間評価に従いつつ、継続的な英語発表力訓練を通常授業及び国際遠隔授業によって行う。④学習効果測定の最終評価(1~3月): 学習者の英語発表力を事後の英語力テストで測定する。⑤研究報告書の作成と今後の研究準備(1~3月): 報告書の作成に取組む。 また上記に加えて、遠隔授業先とメールやテレビ会議での連絡だけでなく実際に訪問も行い、授業で実施する課題内容・コンテンツの協議を綿密に行うこととする。 以上を平成25年度計画とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備費としては購入予定は無い。物品費としては英語教育や遠隔授業に関連する和書や洋書の購入が主たる用途となる。旅費は自身が遠隔授業における相手先の学校への渡航に用いるとともに、2年目として1年目の研究成果発表としての、学会参加旅費に充てる。謝金は遠隔授業の記録用としての映像編集作業に従事する者に対して検討しており、その他の費目としては、学会参加費や論文投稿料などに充てることを考えている。
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