• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

日本人とコーヒー生産をめぐる国際移動とネットワークに関する歴史学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 24720284
研究機関上智大学

研究代表者

飯島 真里子  上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)

キーワードグローバルヒストリー / 移民史 / コーヒー栽培 / ハワイ / 台湾 / 日本人移民
研究概要

2年目にあたる本プロジェクトでは、昨年度の文献調査を踏まえた上で、フィールドワークを中心的に行った。具体的には、8月上旬に1週間ほど台湾・古抗のコーヒー栽培地を訪れ、資料収集と栽培者や研究者へのインタビューを行った。調査では、以下のことが明らかとなった。
1)日本帝国統治時代、コーヒー栽培は古抗の台湾人小作農家により盛んに行われていたが、コーヒーに特化しているのではなく、様々な野菜・果物も栽培されていた。しかし、花蓮地区(本調査では訪れていない)では、日本企業が進出し大規模なコーヒー農園を経営していた。
2)戦後、1950年代に台湾経済復興計画の一環として、エドワード・フクナガ氏が2回ほど古抗を訪れ、コーヒー栽培・生産の指導にあたった。フクナガ氏は、ハワイ島コナ・コーヒー栽培生まれの日系2世である。
以上の点を踏まえ、研究の意義・重要性について2点ほど挙げたい。
1)本プロジェクトはこれまで日本帝国と植民地台湾の支配構造をコーヒー栽培を中心とした農業開発政策の視点から考察してきたが、フクナガ氏と古抗の関係性を調べることによって、日系人を介した戦後米国と台湾の関係も射程にいれた考察が可能となる。
2)これまでの研究で、戦前にハワイに移民した日本人が台湾コーヒー栽培・生産に寄与したことはわかっていたが、フクナガ氏の訪台によって、戦後もハワイの日系人が深く関わっていることが明らかになった。既存の日系人研究は移民先国における日系人について論じてきたが、本研究では移民先国ではない「台湾」と「ハワイ」の関わりを日系人・日本帝国・アメリカ帝国史の文脈から見ることによって、新たな考察視点を提示できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に計画した台湾でのフィールドワークを予定通り行えたこと、またコーヒー栽培に関する台湾植民地資料(神戸・UCCコーヒー博物館、京都大学農学部図書室)を収集できたため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

26年度は本プロジェクトの最終年度となるため、研究成果の報告を積極的に行いたい。具体的には、9月中旬に英国・オックスフォード大学で開かれるグローバルスタディーズ国際学会「Food(食)」に関する部会にて、ハワイ日系人と台湾コーヒーの関わりをテーマにした研究を発表を計画している。また、学会発表の内容を本国際学会が編集するワーキングペーパーとして発表する予定である。さらに、国内での発表も現在検討中である。
また、今回のフィールドワークにて、日本統治時代のサトウキビ産業に注目することで、日系人を介したトライアングル関係(日本―ハワイー台湾)をより多く史料を使用して考察ができることがわかった。このテーマに関しては、本科研終了後の新たな科研研究課題として発展させたい。

次年度の研究費の使用計画

本年度行う予定であった国際学会への出席ができなかったことが理由として挙げられる。
1)海外旅費 45万―グローバル・ヒストリ国際大会(英国・オックスフォード大学)に出席するための旅費(内訳航空券27万、宿泊費2,5万×6泊、日当0.5万円X6日)(2)台湾コーヒーに関する論文の翻訳料(台湾語→日本語)5万 ③図書 3.5万円

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] フィリピン・ダバオ引揚者による戦争体験の沈黙と共有-帝国と国民国家の狭間で2013

    • 著者名/発表者名
      飯島真里子
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 911 ページ: 89-97

  • [学会発表] フィリピン引揚者による戦争体験の沈黙と共有-帝国と国民国家の狭間で-

    • 著者名/発表者名
      飯島真里子
    • 学会等名
      歴史学研究会大会
    • 発表場所
      一橋大学

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi