研究課題/領域番号 |
24720286
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平井 上総 北海道大学, 文学研究科, 助教 (20609721)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 検地 / 豊臣政権 / 中世史 / 近世史 |
研究概要 |
検地は豊臣政権の実施した最重要政策のひとつであり、かつて豊臣政権研究の中心に位置していたが、現在の研究動向の中心からは外れてしまっている。一方で検地研究は実態解明を中心に独自に進展しており、その成果を還元するために豊臣政権論の一環としての検地研究が求められる。 よって本研究では、豊臣政権期を対象として、検地政策(いわゆる太閤検地)がいつ(可能であれば月日まで)、どの場所に(地域の広さも重要)、誰によって(豊臣政権や大名独自など。また検地役人の人名も)、どのような方法(検地の手法や検地帳記載様式)で行なわれたか、データを集成して提示する。さらに検地を政治史的に検討してその実施理由を類型化し、その展開を明らかにすることで、豊臣政権研究と検地政策研究の再融合を目指す。 平成24年度は、豊臣政権期の検地に関する基礎情報を集成することを目的として研究を行なった。具体的には、県史・市史・町史といった自治体史のほか、各種学術論文・研究書による成果や、検地帳等を収録する史料集を参照して、実施期間・対象地・実施方法・実施者の4点を重視して調査し、全国の検地実施データを集成した。これにより、豊臣政権期の全国の検地実施状況について、最新の研究成果を集成した一覧を作成することができた。このデータを元に政治史的分析を進めることで、検地の多様な側面を明らかにしうるものと思われる。 なお、このデータを活用していくためには論文等の形で広く公開することが必要と考える。そのために今後もより一層のデータの収集と整理を継続していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の目標は全国の検地実施情報の集積であり、それについてはおおむね達成しえたものと思われる。ただ、町・村レベルの自治体史や個別の論文に関しては収集しきれていない部分もあり、データをより一層充実させる作業は継続していく必要がある。また、データを収集したのみならずその整理も必要であり、こちらも次年度に継続して取り組んでいきたい。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は豊臣期の検地を政治史的に検討する。実施期間・対象地・方法・実施者のデータをもとにした考察と、文書(書状類)の内容による検討が主な手法となる。 使用する史料は24年度の調査でも収拾しているが、そこで拾いきれなかった有用な史料もあるものと思われるため、本年度も引き続き史料の収集にあたる。とくに大名家の文書や奉行人の家の文書などを広汎に調査することとしたい。『大日本古文書』に収録された大名家文書や浅野家文書をはじめとした刊行済み史料のほか、未刊行の史料をも調査しなければならず、所蔵機関に赴いて調査が必要であろう。また、豊臣秀吉の発給文書に関しては三鬼清一郎氏作成の『豊臣秀吉文書目録』があり、各文書の出典が明らかにされているため、それらを手がかりとして東京大学史料編纂所が所蔵する影写本などで調査を行ないたい。 前年度から継続して収拾したデータと、本年度の研究成果は、論文などの形で早期に公開することにつとめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、調査のための出張が他機関からの支弁で行えたことなどにより、支出予定額を下回ることになった。そのぶんは、25年度に、調査のための出張や、資料収集のための図書購入費の充実などに充てることとしたい。
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