研究課題/領域番号 |
24720291
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 助教 (30323661)
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キーワード | 日本中世史 / 禅宗史 / 農業史 / 禅籍 / 史料調査 |
研究概要 |
本研究は、中世禅宗寺院領の展開の背景の一つとして、荘園における生産活動、とくに農業についての知識を禅僧がいかに共有・蓄積していたかを明らかにしようとするものである。具体的には、禅宗寺院内で行われた漢籍・禅籍の講義の筆録である抄物を中心として、典籍の受容の様相を広く追うことによって、禅僧の知識形成の過程を考察するものである。 本年度は、昨年度に行った抄物の所在状況の把握を踏まえて、いくつかの大学・図書館等の機関の所蔵する抄物史料の調査(閲覧・デジタル撮影)を行った。また、京都・島根・佐賀における禅宗寺院の所蔵史料について、他の科研等の研究グループと合同で史料調査(目録作成・デジタル撮影)を行った。 また本年度は、農書と隣接する史料である本草書・医書についても、他の科研等の研究グループと合同で史料調査(目録作成・デジタル撮影)を行い、禅僧の植物に関する知識の形成について研究する端緒をつけた。日本中世においては農書に相当する典籍が撰述されることはなかったとされるが、中世における本草書・医書の伝来や抄物への引用などを通して、これらがいかに受容されたかを考えることは、農業や農作物に関する知識がどのように共有・蓄積されてゆくかを示す一つの徴証として、新たな知見がもたらされるものと期待される。 なお、撮影した史料のうち所蔵者の承諾が得られたものについては、順次、史料編纂所図書室において写真帳もしくはボーンデジタルなどの形で閲覧公開に供している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、中世禅僧の農業に関する知識の共有・蓄積を明らかにすることにあるが、その史料となる禅籍・抄物史料について、昨年度行った所在状況の把握を受けて、本年度は実際に所蔵先へ赴いて史料調査を行うことを中心として研究を進めた。調査はおおむね順調に進んでおり、また調査の過程で新たな史料の所在が判明するなど、研究は一定の進展を得ていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究に引き続き、禅籍・抄物史料の調査を行う。内容としては農業知識に関する史料を中心とするが、本草書・医書や数学関係の典籍など、広く科学知識に関わるものに目を配り、禅宗寺院に関わる多様な史料の調査を行う。なお、調査にあたっては、対象となる史料に応じて、専門分野の研究者の同行・助言を求める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に予定していた史料調査のうち、調査先との日程調整の都合上、やむを得ず次年度に行うこととなったものが発生したため。 次年度使用額の多くは旅費であり、25年度に予定していた調査を次年度に行うことで使用する計画である。なお、26年度に予定していた史料調査については、必要に応じて専門分野の研究者の協力・助言を得ることにより予定通り実施するため、26年度分として請求する助成金の使用計画に変更はない。
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