研究課題/領域番号 |
24720293
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
瀬畑 源 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師 (10611618)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 天皇制 / 昭和天皇 / 政治学 / 歴史学 / 日本現代史 |
研究概要 |
本研究は、具体的な分析対象として、1945年から54年にかけて行われた昭和天皇の「戦後巡幸」を取り上げた。そのため、以下の調査を実施した。 1.宮内庁書陵部宮内公文書館所蔵『幸啓録』の再調査・・・公文書管理法施行に伴う開示基準の変更があったため、主要部についてはすべて再度閲覧を行い、デジタルカメラにて資料の撮影を行った。また、公文書管理法施行後の資料の公開状況を調査するために、情報公開請求によって資料を収集した。 2.地方自治体資料の調査・・・大分県公文書館において調査を行い、関係資料をデジタルカメラにて撮影した。 3.巡幸記念誌の収集・・・鳥取県、福島県、宮崎県、福岡県、大分県(日田市のものも含む)のものを複写依頼を行って入手した。その他、鳥取、鹿児島、宮崎などで、地元紙作成のグラフ誌を入手した。 これらの資料を収集した上で、まず戦後巡幸の訪問先の一覧表及び『幸啓録』の目次の目録化を行った。また、各地の巡幸記念誌を比較することで、巡幸に対する各地での奉迎の共通点及び相違点をまとめた。これらのデータは、これまできちんとまとめられていなかった戦後巡幸の基礎資料となるものであり、重要な意義を有している。 なお、戦後巡幸をきっかけとして1948年から49年にかけて行われた宮内府の組織改革(宮内庁への再編)について論文を執筆し『一橋社会科学』に投稿した(現在審査中)。また、象徴天皇制研究会において、戦後巡幸の概説となる報告を行い、研究成果を公表するための努力を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
宮内庁における資料収集は順調に進行している。ただし、地方自治体資料の収集は、宮内庁における資料収集などで予想以上の出費がかかったため、自治体への情報公開請求を行うことができなかった(費用がどの程度かかるかが、公開審査を経ないと予想つかなかったため)。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は予定通り1954年の北海道行幸における北海道内で発行された地方新聞における関連記事を国立国会図書館において収集する。 また、2012年度に収集できなかった地方自治体資料の収集を計画的に行う。具体的には富山県庁、奈良県庁、福岡県庁、北海道庁を対象とする。 その後収集した資料を用いて、学会発表や学術雑誌への投稿論文による成果の発表を行う。戦後巡幸の概説については、象徴天皇制研究会のメンバーによって出版する予定の本に執筆する。その他に戦後巡幸の具体的な内容についての論文を『日本歴史』に投稿する予定である。 また、戦後巡幸の研究を行うための基礎資料のデータを集めたウェブサイトを構築し、一般に公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の目的を達するため、2012年度の未使用額18,923円とあわせて、2013年度の予算では、情報公開請求に関する費用及び新聞収集のための複写代及び謝金を中心に支出する予定である。
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