平成26年度は当該研究事業の最終年度として、①前年度から継続的している資料収集および、②成果報告の公表に努めた。 まず①であるが、26年度には復刻されたばかりの雑誌『教育紙芝居』・『紙芝居』(1938年~1950年、全11巻)を購入した。従来まったく研究がおこなわれていなかったものの、「大東亜共栄圏」構想がそれまでの東亜新秩序構想などと異なっていた特徴の一つには、「児童向け」のコンテンツが豊富に出版されたことにあった。「異文化問題としての「大東亜共栄圏」の研究」を課題とした当該研究事業において、紙芝居という児童向けのコンテンツで、東南アジアの文化や人々がどのように表象されたのか、という未知の領域を分析するために収集した資料群である。 ②としては、26年7月11日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター2014年度夏季国際シンポジウムにおいて、Cross Cultural Aspects of Dai-Toa Kyoei Ken (Greater East Asia Co-Prosperity Sphere)と題した報告を行った。同報告を基礎とした同名の英語論文はすでに初校校正を終え、27年度中に英文書籍の一章として刊行される予定である。 また現在、『講談社メチエ』の一冊として『(課題)大東亜共栄圏と近代日本』と題した書籍を執筆中である。平成27年5月現在で全体の半分程度を執筆しており、27年度中に刊行することが決定している。
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