東京都公文書館所蔵の「芸娼妓解放令」関係史料の分析から、東京府の「芸娼妓解放令」の実施過程と公娼制度の再編過程を明らかにし、「芸娼妓解放令」の歴史的意義についての従来の評価に再考を促した。また、石川県をはじめ、各府県の「芸娼妓解放令」への対応について検討した。具体的には、各府県で「芸娼妓解放令」の理念が多様に理解・解釈され、既存の「遊廓社会」の動向とすりあわせながら、実際の遊所統制の方針が実体化していくことを明らかにした。 さらに、娼妓・芸妓の経験に即して「芸娼妓解放令」の歴史的意義を明らかにするために、娼妓・芸妓がかかわった裁判の判決史料の収集に着手した。
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