研究課題/領域番号 |
24720316
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 健哉 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (60419984)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 元の大都 |
研究概要 |
当該年度は当初の実施計画に従って研究を進めることができた。まず当初の計画通り、大都に関係する文献史料の調査を行った。『元史』『元典章』『通制条格』といった官撰史料と、東北大学附属図書館に所蔵される大型の叢書に収められる個人文集から、大都に関係する史料の蒐集を行った。また、これまでの作業に引き続き北京に関連する文献の収集を行った。さらに、中国の元史学会に招聘されたのを機に、本来であれば二年目に予定していた現地調査の一部を先取りする形で行った。その結果、元代以来の河道の調査、明・清時代の碑文の調査を行った。今回は短期間での調査であったため、調査が行き届かなかった面もあるが、次年度以降の本格的調査を円滑に行うための予備調査として位置づけられる。 当該の年度の研究成果として、「金の中都から元の大都へ」を公表した。この論文では、元代初期の大都の状況を多方面から明らかにした。本科研の題目にある「元代後半期」に取り組むうえで、その前段階の状況を解明することは重要な意味を有する。また、自身の研究成果を公表すべく、中華人民共和国天津市で2012年8月24日から27日にかけて開催された元代国家与社会国際学術研討会において「《経世大典輯本》中元代科挙礼儀的相関史料(漢語)」と題する報告を行った。これは元代後半期の大都で挙行された科挙の合格者に関する儀礼を明らかにすることで、当時の大都の状況について言及した報告である。なおこの学会については、櫻井智美氏(明治大学)と共著で「「元代国家与社会国際学術研討会」参加記(速報)」と題する参加記を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に行う予定であった文献史料から関連する史料を収集することや研究文献の収集については順調に行うことができた。まず史料の収集については東北大学附属図書館に所蔵されている関連文献を概ね網羅することができた。ただし史料の厳密な分析には及んでいないものもある。今後も読解・分析を行いながら項目ごとに整理していきたい。また、研究文献については、東北大学附属図書館に所蔵されていないものについては、相互利用の手続きをとり、複写を取りよせた。 また本来の計画では予定の無かった現地調査の一部を先取りして行った。これについては、二年目以降の現地調査の予備調査に位置づけられ、それにより本調査が円滑に行われる見通しが立てられた。 以上の点から、達成度については「おおむね順調に進展している」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にもとづいて引き続き進めていきたい。まず、本格的な現地調査として、北京市~通州にかけての河道の踏査を行う。また併せて関連する石刻資料の調査も行う。これについては、予備調査によってある程度の目途がついているので、調査は滞りなく進められるはずである。また、中国社会科学院考古研究所の董新林教授の説明では、かつて実施された元大都の考古調査の全貌が近々に公表されるとのことであったので、その内容も踏まえて調査が行えればより有意義な成果が生み出されると予想される。 「北京史研究文献データベース」の構築のために研究文献の収集・整理に引き続き努める。これまで集めたものをある程度マイクロソフト社のエクセルに対応するようにデータ化しているが、細目については改めて見直しを行い、特に外国人研究者の活用が容易になる点を意識して工夫を凝らしたい。 さらに、成果を論文として公表するために、引き続き史料の分析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本格調査のための旅費に充当する。旅費については当該年度の予備調査を踏まえて、期間・金額ともに確実な計画を立てることが可能である。すでに調査ポイントに関する予備的な調査は終えているので、調査は滞りなく行うことができると予想される。また国内の研究機関を訪れ、関連する史料や研究文献の蒐集を行う。 研究文献の購入にあてる。中国では数多くの関連文献が出版されるので、その購入にあてる。 東北大学の大学院生に依頼をして、データの整理を行う。そのための謝金に充当する。本年度は申請者が一人で行ったので、次年度は大学院生に協力を依頼する予定で、内諾も得ている。
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