研究課題/領域番号 |
24720316
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 健哉 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (60419984)
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キーワード | 大都 / 通恵河 / 大運河 / 交通路 |
研究概要 |
当該年度は「研究実施計画」に沿って研究を遂行することができた。 まず、大都と運河に関する文献史料の調査を行った。前年度に引き続き元代の史料を調査した。この作業に加えて、当該年度は明代に編纂された『明実録』『皇明条法事類纂』『漕運通志』等や明代の地方志等の、元代の次の時代である明代の史料にまで対象を広げた。 また12月に、北京において河道の踏査と石刻資料の調査を行った。具体的には、北京市から通州を三日間にわたり徒歩で踏破した。前年度は夏の調査であったため、季節の変化も体感することができた。 当該年度は「元・明代における北京~通州間の交通路」(第46回東洋史学研究会,福岡大学,2013年11月16日)と、「元の大都における宗教空間」(日本学術振興会「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」総括シンポジウム/大阪市立大学文学部創設60周年記念「東アジア都市における集団とネットワーク――伝統都市から近現代都市への文化的転回」大阪市立大学,2013年12月06日)と題する報告を行った。前者は本研究課題の中間報告として発表した。後者は大都の宗教空間を分析する過程で、交通路の問題にも触れた。 当該年度の研究論文として、新宮学〔編〕『近世東アジア比較都城史の諸相』(白帝社、2014年)に「元の大都の形成過程」と題する論考を寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に引き続いて、文献史料から関連する史料の収集を順調に行った。史料については、当初の研究計画では想定しえなかった東北大学附属図書館の改修工事が行われ、史料閲覧にあたっては不便を生じた。しかしながら、たびたび東京に出張することで、史料の収集を行うことができた。 現地調査は、当初の計画通り、通恵河の踏査を行った。河道の様子を調査するとともに、明清時代の石碑の調査を行うことができた。石碑の文面については、帰国後に整理を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にもとづいて研究を進めていく。まず、現地調査を行う。北京・通州間の調査はすでに終えた。しかしながら、改めて史料を読み進めているうちに、北京城内の調査の必要性も痛感したため、城内の河道の踏査も行うことにする。また、元の大都の発掘報告についても、近々に公表される予定であるとのことなので、その内容も踏まえたい。 「北京市研究文献データベース」の構築のために作業は引き続き進めていく。 これまでの研究成果を論文として公表するために、史料の分析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査は当初から三年間で完遂するように計画していたため、そのための調査費が必要である。事前の下調べ→現地調査→調査資料の整理→問題点の抽出→事前の下調べ…というサイクルで行っているため、必然的に複数年にまたがってしまう。 研究の過程で必読の研究文献が出てきたため、その購入費が必要である。そして、これまで申請者が単独で行っていたデータ整理を、できるだけ効率よく行うため、大学院生に支払う謝金が必要である。 北京の現地調査の費用にあてる。旅費等の必要経費は、これまでの経験から、期間・金額ともに確実な計画を立てて行うことが可能である。主要な場所の調査はすでに終えているので、調査は滞りなく行うことができると予想される。また、国内の研究機関(東京大学東洋文化研究所・京都大学人文科学研究所等)を訪問し、関連する史料や研究文献の蒐集を行う。 中国での調査にあたって必要な文献や国内外の研究文献の購入に充てる。加えて、東北大学の大学院生に依頼してデータの整理を行う。そのための謝金に充てる。本年度は申請者がほぼ一人で行ったため、次年度はこの部分に多く費やすことになる。すでに大学院生からは承諾を得ている。
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