研究課題/領域番号 |
24720327
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
磯貝 真澄 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90582502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中央ユーラシア史 / ロシア帝国 / ムスリム / イスラーム法 / ロシア法 / 家族 / 国際研究者交流 / ロシア |
研究概要 |
研究課題「19世紀後半~1905年に、ロシア帝国の司法・行政下にあったヴォルガ・ウラル地域におけるムスリムの家族生活状況を、遺産分割関係文書史料の分析を鍵として解明する」に取り組んだ。 1.研究資史料の収集 ロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館における資史料の所在調査と収集を計画していたが、実施できなかった。それに代えて、海外研究協力者であるロシア科学アカデミー・ウファ学術センター歴史言語文学研究所バシコルトスタン歴史・文化史部主任マルスィリ・N・ファルフシャートフ研究員を招へいし、講演を依頼するとともに、資史料の所在にかかわる情報の調査と提供を受け、資料数点を入手した。ファルフシャートフ研究員は、11月18日に京都大学ユーラシア文化研究センターにて、また11月20日に東洋文庫にて講演等を行なった。国内における研究資史料の収集は計画のとおり進めている。特に、1887年版ロシア帝国民法集成をはじめとするロシア法史料(国内研究機関付属図書館等所蔵)と、ロシア法制史の研究文献は重点的に収集した。 2.資史料の読解と分析 収集した資史料の読解と分析を順次進め、その成果の中間報告となる研究報告を行なった。6月23日に京都外国語大学で開催された第11回中央アジアの法制度研究会にて報告した。また、11月3日に京都大学で開催された東洋史研究会大会にて、研究報告を行なった。これらの研究報告では、まずロシア帝国の普通民法等によるヴォルガ・ウラル地域のムスリムの遺産分割の規程を確認した。また、その制度の枠内でムスリム「聖職者」によって作成された、アラビア文字表記テュルク語文書の実態を明らかにし、その制度内における機能について分析を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館における資史料の所在調査と収集が実施できなかったため、研究資史料のうちムスリム遺産分割関係文書史料の量的収集が若干遅れている。ただ、同種史料の質的な分析については、既に収集済みのものを利用して進めることができており、研究計画全体の大幅な遅延にはいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はまず、研究課題「19世紀後半~1905年に、ロシア帝国の司法・行政下にあったヴォルガ・ウラル地域におけるムスリムの家族生活状況を、遺産分割関係文書史料の分析を鍵として解明する」の研究成果を学術論文として公表することをめざし、研究資史料の所在調査・収集、および資史料の読解・分析を行なう。 ロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館における資史料の所在調査と収集を実施し、特にムスリム遺産分割関係文書史料の量的収集に努める。また、サンクト・ペテルブルグ市所在の諸文書館・図書館に有用な資史料が所蔵されているとの情報を得たため、ウファと同時にペテルブルグにおける資史料の所在調査も行なう。国内においては、引き続き、ロシア法、イスラーム法関係の資史料の収集を進める。収集した資史料の読解・分析については、今年度研究報告を行なった時に得られた新しい知見を盛り込みつつ進める。 上記研究課題について、その成果としての学術論文を作成しつつ、本研究計画を構成するもう1つの研究課題「19世紀後半~1905年のヴォルガ・ウラル地域におけるムスリム家族とマハッラ(宗教・行政上の共同体、教区)の実態を、ムスリム教区簿冊を史料とした家族社会史的、歴史人口学的手法により解明する」に着手する。まずは資史料の所在調査をロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館にて行なう。国内においては、歴史人口学的な家族史研究分野の先行研究を収集するが、分析手法の勉強と比較史的分析のため、当該研究の対象地域を問わず入手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、ロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館における資史料の所在調査と収集を、今年度実施できなかったためである。ゆえに当該助成金は、次年度分として請求した助成金とあわせ、当初から今年度のみならず、次年度研究実施計画にも含まれていた、ロシア連邦ウファ市所在の諸文書館・図書館における資史料の所在調査と収集に使用する。その際、当該地における調査期間を当初計画より延長し、当初計画で今年度行なうはずであった作業と次年度の作業を、次年度にあわせて実施する。
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