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2014 年度 実績報告書

清代後期の女性と訴訟

研究課題

研究課題/領域番号 24720328
研究機関同志社大学

研究代表者

水越 知  同志社大学, 文学部, 助教 (90609538)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード中国史 / 法制史 / 家族 / 女性史 / 文書史料 / 地域研究 / 民俗宗教 / 訴訟
研究実績の概要

1、『巴県档案(同治朝)』〈婦女〉の分析:離婚に至る訴訟に関して、夫婦間の訴訟に注目し、訴訟に至った夫婦の通婚圏の狭さや、契約関係を争点とした紛争が裏面にあるという特徴を見出した。また従来ほとんど知られていない妾による訴訟について、夫婦とは異なり都市部に集中し、家庭内暴力や売春強要等が原因となる場合が多いことを明らかにした。
2、関連資料の収集:昨年度に引き続き、2014年8月18日~25日に中国・重慶市での資料・現地調査を実施。重慶市巴南区档案館等で重慶地域の地方史料および民国時代の档案史料を幅広く閲覧・収集した。また重慶市では巴南区石龍鎮と太平場の現地調査も実施し、農村部の寺廟や生活について調査したほか、民間に所蔵される族譜資料なども閲覧した。国内では東京大学東洋文化研究所、立命館大学等で関連資料を収集したほか、慶應義塾図書館で『巴県档案(乾隆朝)』〈婦女〉のマイクロフィルムを閲覧、収集した。これらの過程で得られた民俗宗教関係の档案は、従来日本では知られておらず、下記論文のなかで紹介した。
3、重慶地域の研究:女性関係訴訟の背景となる重慶の地域的特徴について、とくに都市部と農村部の社会状況の違いに注目して分析した。『巴県档案』の〈内政〉、〈宗教〉の分類を中心に、寺廟を中心とした基層社会のあり方を考察し、2014年4月19日の史学研究会例会等で中間的な成果を報告した。これらを通じて、寺廟関係の訴訟ではしばしば女性が当事者となることを確認し、また社会的に弱い立場にあった女性にとって、寺廟がアジールとなる可能性を実態に即した史料から明らかにした。
4、成果の報告:重慶の地域研究の総括として「清代後期における重慶府巴県の寺廟と地方社会――『巴県档案』寺廟関係档案の基礎的考察――」を『史林』第98巻第1号に公刊したほか、来年発行予定の『東洋史研究』特集号に掲載する論文を執筆中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 清代後期における重慶府巴県の寺廟と地域社会――『巴県档案』寺廟関係档案の基礎的考察――2015

    • 著者名/発表者名
      水越知
    • 雑誌名

      史林

      巻: 第98巻第1号 ページ: 103-142頁

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 中国近世の民間信仰の理解に向けて――社会史的な視点から――2014

    • 著者名/発表者名
      水越知
    • 学会等名
      宋代史談話会
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2014-10-18
  • [学会発表] 中国近世の民間信仰の概括的理解に向けて――社会史的視点から――2014

    • 著者名/発表者名
      水越知
    • 学会等名
      アジアにおける仏教と神信仰研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-05-31
  • [学会発表] 中国近世の地方社会における宗教的空間――19世紀、重慶巴県を中心に2014

    • 著者名/発表者名
      水越知
    • 学会等名
      史学研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-04-19

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公開日: 2016-06-01  

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