本研究課題は、唐代仏教史をユーラシア史的な文脈のなかに位置づけることを目指すものである。まず、国家事業として実施された経典翻訳などの仏教事業に着目し、それらの事業を実施した集団の人的構成の特徴を整理した。特に、外来人については、彼らの来唐から仏教事業に参加するまでの経緯を明らかにした。そして、これらの仏教事業とユーラシア情勢などの現実的な諸問題との関連性を解明した。また、唐代中国で刷新された仏教は、唐滅亡後のユーラシア東部の多極化のなかで、各地域の王権に如何に受容されるのかを、沙陀の建てた後唐を例に取り上げて考察した。
|