①国内出土の人骨資料に関しては、九州大学総合研究博物館および比較社会文化研究院基層構造講座所蔵西日本弥生時代・古墳時代遺跡出土人骨および福岡市埋蔵文化財センター所蔵の出土人骨調査を行った。これらの調査においては、抜歯風習を用いた通過儀礼の復元および遺跡の評価に必要な人骨の遺存状態などの情報収集を行った。古人骨の資料調査においては儀礼の復元に必要な被葬者の親族関係に関する情報収集を行なった。 以上の調査および分析の結果、当初の予測通り西日本の国家形成期前段階においては先行研究で提示されたモデルに添って葬送儀礼・親族関係の変化が進行しているということが明らかになった。この成果に関しては学術論文としてまとめ成果発表を行っている(舟橋京子2015「福岡市卯内尺古墳群4号墳出土人骨の親族関係について」『九州大学総合研究博物館研究報告』13号)。 ②日本列島以外のアジア地域に関しては、九州大学人文科学研究院考古学研究室において報告書の精査を行った。 ③本年度の後半にはアジア地域における通過儀礼と社会変容に関するモデル化を行い、社会変容と通過儀礼の変容は相関し、社会変容の進展度に空間的な際が見られる場合は儀礼の変容にも差異が見られるという点を明らかにしている。これらの研究成果に関しては、本来研究成果論文投稿予定であった2月・3月に出産に伴う休暇に入ったために論文自体は未投稿である。但し、成果はほぼまとめており、産休・育児休業後の次年度に学術論文の形で投稿予定である。
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