研究課題/領域番号 |
24720363
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
上野 淳也 別府大学, 文学部, 准教授 (10550494)
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キーワード | 国際情報交換 マレーシア / 国際情報交換 ロシア / 国際情報交換 ベルギー / 国際情報交換 フランス / 国際情報交換 フィリピン |
研究概要 |
国外の研究実績としては、夏季に南蛮エリアすなわち東南アジア方面へ、冬季には日本に伝来した大砲のルーツであるヨーロッパ製の後装砲に絞って調査をおこなった。 東南アジアでは、大航海時代に資源大国であったマレー半島における調査を中心おこなった。マラッカでは、スルタン勢力やポルトガル勢力が鋳造した錫や鉛を用いた貨幣のサンプルを入手した。これを分析することによって、15~16世紀にマレー半島で採掘されていた錫・鉛の基準となる鉛同位体比の値を把握することが出来るようになった。また、マレーシア国立博物館においては、16世紀のスアンデ沈没船に搭載されていた後装砲のサンプリング及び実測調査をおこなった。この後装砲に関しては、ロシア砲兵博物館所蔵の大砲に引き続き、イスラミックな文様が確認され、大航海時代の南蛮域における火砲の発展にイスラム勢力の影響が見受けられた。 ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、デンマークの軍事博物館における後装砲の調査をおこなった。リスボン所在のポルトガル軍事博物館及び海洋博物館、スペインのマドリード及びバルセロナの海軍博物館及び海事博物館、デンマークの軍事博物館において、後装砲の実測調査をおこなった。 国内の研究実績としては、昨年度調査済みのフランス軍事博物館所蔵大砲と同工房の製品であると考えられる国産大砲の絵図面(千秋文庫所蔵)の調査をおこなった。大砲に施されている文様の研究から国内産の佛朗機砲の編年試案を確立する事ができた。 今年度の研究業績において、戦国時代の日本にもたらされた後装砲のヨーロッパから日本に至るまでの型式学的な組列、及び南蛮産の鉛同位体比のデータベースの補強をおこなうことが出来た。なお、平成25年度前半までの研究業績に関しては、「(仮)日本における佛朗機砲の需要と展開」というタイトルで掲載され、別府大学文化財研究所編集で思文閣から出版される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、新資料の発見等から、当初の計画以上に進展した。本年度の調査研究は、昨年度の新資料の発見という予定外の調査によりエフォート的に実行不能となった調査の補填にも充てた。 本年度の研究計画としては、当初は東南アジア方面及びトルコ等への調査を充てていたが、結果的に、①千秋文庫への大坂冬の陣で使用された石火矢絵図の調査、②マレーシア及びブルネイへの大砲資料のサンプリング及び実測調査、③日本の大砲のルーツとなるポルトガル及びスペインとデンマークの後装砲の実測調査を遂行した。 この中で、特に③においては、昨年度達成できなかったフィリピンの沈没船サンディエゴ号に積載されていた多数の鉛インゴットをマドリードの海軍博物館で発見することが出来た。 しかし、年度当初におけるトルコの治安悪化等の問題もあり、トルコへの調査は見送らざるをえなかった。また、出版社の都合により、本研究の前半部の成果の出版が遅延している。しかし、これは本年度半ばまでに出版される運びとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度は、過去2年間において蓄積した考古学的データ・化学分析データ・歴史学的データをつき合わせてデータを歴史考古学的に再読解し研究活動報告書を作成する。 また、本研究の成果発表の場であるシンポジウムを別府大学文化財研究所主催で文化財セミナーとして12月頃に別府大学でおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究は、平成24・25・26年の3ヵ年で計画したものである。平成24・25年度は、国内及び国外における調査データの蓄積、平成25年度後半から26年度一杯をデータ整理及び分析・成果報告に充てている。 次年度は、その最終年度に当たる平成26年度となり、研究報告のデータ整理・発表・報告書作成の年度に充てている。 当該研究の最終年度であるので、まず年度当初に全データの整理の為にパソコンの購入をおこなう。 また、年度後半には、成果報告の場であるシンポジウムの開催費用、及び研究成果報告書の刊行費として支出する。
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