研究課題/領域番号 |
24720378
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
後藤 拓也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (00452798)
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キーワード | アグリビジネス / 企業の農業参入 / 契約生産 / 農業地域 / 日本 |
研究概要 |
本年度は、来年度に実施する現地調査の対象となる事例企業ならびに事例調査地の選定を行うため、統計分析を行った。 まず、2000年代以降の日本におけるアグリビジネス(農業関連企業)と農業地域の関係変化として、政策的に進められている「農商工連携」に代表されるような、食品企業や小売業といった農外企業による農業参入が進んでいることを、農林水産省や各種団体が刊行する資料分析によって確認できた。 そこで本年度は、2000年代以降において急速に農業参入を進め、生産拠点を全国的に展開してきた食品企業A社と、食品小売業B社を対象に選定し、それら2社による生産拠点(直営農場ならびに契約農家)の地理的な立地展開プロセスを地図化するなどの分析を行った。その結果、両者ともリスク分散の観点から生産拠点を北海道から九州までの各地方に配置し、さらに農産物調達先として、直営農場と契約農家を状況に応じて使い分けていることが判明した。 このように食品企業や食品小売業などの農外企業が、相次いで農業参入している背景としては、政府が進めてきた農地法の改正によって、一般企業でも農地取得がしやすくなったこと、さらには近年に食品事故や事件が相次いだことで、各企業が安全な農産物を調達するために国内で生産拠点を設けざるを得なくなったという事情がある。 よって来年度は、これら事例企業2社に対する聞き取り調査を実施することに加えて、これら2社がなぜ国内で生産拠点を設けるに至ったのか、といった企業戦略にまで踏み込んだ分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況は、現在までのところ、おおむね計画通りに順調に進展していると考えられる。その理由としては、最終年度に現地調査を行える状況をつくることが、研究計画の一つのキーポイントであったが、これまでの統計分析や資料収集によって、事例企業ならびに事例地域(事例産地)に対するヒアリングを行うだけの事前準備が十分になされたと考えるからである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、来年度に事例企業ならびに事例地域(事例産地や事例農家)に対する現地調査を実施する予定である。この現地調査では、すでに各企業や各産地に対する調査項目を用意するなど、ヒアリングの準備はある程度整っているので、あとは質問内容をブラッシュアップするなど、調査の実施に向けてこれまで通り丹念に準備を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、次年度使用額として57円が計上されているが、これは文房具などの物品(消耗品)の購入が一部予定通りに実施されなかったためである。 来年度は、今回計上された57円を、文房具などの物品(消耗品)の購入に充てて、計画通りに予算を消化していく予定である。
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