本研究では、2000年代以降の日本におけるアグリビジネスの地域的展開と、それが農業地域に与える影響を明らかにすべく、フィールドワークにもとづいた実証分析を行った。まず2000年代以降に顕著となった「企業の農業参入」を全国レベルで検討し、それが過疎地域の卓越する西日本(中国・四国・九州地方)で多く展開しているという事実を明らかにした。その上で、大分県や高知県を事例として、地方自治体による企業誘致の展開や、食品企業が主導する農産物の「契約生産」の拡大が、どのように農業地域(過疎地域)の振興に結びついているのかを明らかにした。
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