研究課題/領域番号 |
24720379
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大呂 興平 大分大学, 経済学部, 准教授 (50370622)
|
キーワード | トンガ / カボチャ / 農産物 / 資源利用 / 農業 |
研究概要 |
初年度の調査を通じて,2000年代以降の日本へのカボチャ供給をめぐりニュージーランドやメキシコで生産規模の拡大が急速に進んだこと,にもかかわらず,トンガでは産地として生産性を向上させることができず競争力を失ったことが明らかになっていた.これを踏まえ,2年目である平成25年度は,1)上記の点を統計的に実証して公表する,2)トンガのカボチャ輸出をめぐる各主体の行動を掘り下げ,同国のカボチャ産業が競争力を失っていった過程を分析する,3)トンガ農業の技術体系,資源利用の変化を統計的に跡づけることを主な研究目標としていた.こうした研究目標に対して,1)については,野菜生産出荷統計,東京都中央卸売市場統計等の分析に基づいて日本のカボチャ市場をめぐる産地間競争の変動を論文にしたほか,トンガ農業省年報を経年的に分析して,その生産要素投入および生産性変動に関するデータを抽出した.2)については,初年度の現地調査で持ち帰ったトンガ農業省年報,労働産業省年報,英文の文献などを精査し,カボチャ輸出をめぐる日本の輸入業者,トンガの輸出業者,生産者,農業省,トンガ開発銀行等の対応を跡づけた.3)については,トンガの農業センサスおよび農業省の行政資料を分析し,島全体の土地利用変化を地図上で把握する作業を行った.来年度は最終年度として,2)3)の成果を論文として取りまとめるべく詳細な現地調査を行う.そのうえで,トンガが国家・産地としてカボチャ輸出をめぐる産地間競争にどのように対峙したのかという問いに答えを導き出したい.また,これを通じて,南太平洋島嶼国家の社会と開発のあり方,一次産品輸出を梃子とした経済発展の可能性と限界といった,より広範なテーマに対する示唆を得ていきたい.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は他の業務との兼ね合いで,トンガでの現地調査に日程を割くことができなかった.そのぶん,初年度の現地調査で持ち帰っていた膨大な資料を分析することに注力した.その結果,日本のカボチャ市場の変化に関する統計分析が論文として公表されたほか,輸出業者の所有していた過去からの契約農家リストを分析したり,行政資料や既存研究の渉猟により現地の各主体の対応を把握するなどして,来年度の現地調査における焦点を絞り込むことができた.
|
今後の研究の推進方策 |
まず,長期にわたる現地調査を集中的に行う.昨年度の資料分析により現地調査で分析すべき焦点は絞り込まれたので,生産者,政府関係者,輸出業者,援助団体等に聞き取り調査を行う.そのうえで成果を取りまとめ,研究の最終年度として学会発表,論文等として公表する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年度は他の研究業務との兼ね合いでトンガでの現地調査の日程を確保できず,旅費に大幅な余剰が生じてしまった. 前年度でトンガでの現地調査に行けなかったため,2014年度は2回以上かつ長期にわたり現地調査を実施し,不足している情報を収集する予定であり,そのための経費として使用する予定である.
|